オーバーフロー 【overflow】
概要
オーバーフロー(overflow)とは、あふれ(る)、あふれ出たもの、という意味の英単語。ITの分野では、数値の計算結果がその格納領域に収まる範囲を超えること(桁あふれ)や、与えられたデータが多すぎて指定の領域に収まりきらないことなどを指す。算術オーバーフロー
コンピュータで数値を計算する際、数値を格納するために用意したメモリ領域の長さよりも計算結果の値の桁数の方が大きくなってしまうことを「算術オーバーフロー」(arithmetic overflow)または「桁あふれ」という。
コンピュータ内部で数値データを格納するメインメモリ上の領域やCPU内部のレジスタは、一つの数値を決まったデータ量で表すようにできており、取り扱える数値の大きさや桁数に上限がある。
数値を計算した結果がこの上限を超え、正しく格納・表現できなくなってしまうことをオーバーフローという。例えば、1バイトの符号なし整数型は0から255までの整数を表現できるため、「150×2」という計算の結果を格納しようとすると上限を超えてしまいオーバーフローとなる。
アンダーフロー(underflow)
浮動小数点数において、値の絶対値が小さくなりすぎ(小数点以下の0の桁数が長くなりすぎ)て正しく値を表現できなくなる現象を「アンダーフロー」(underflow)という。指数部が下限値より小さくなることで発生し、0に置き換えられてしまうことで除算や乗算の結果が大きく狂うといったことが起きる。
メモリ領域のオーバーフロー
外部からデータを受け取ってメモリ上の領域に保存するようなプログラムで、指定された領域のサイズを超えてデータを受け取ってしまい、隣接する別の区画にデータをあふれさせてしまうことを「オーバーフロー」あるいは「オーバーラン」(overrun)ということがある。
無関係の領域にデータを書き込んでしまうことにより、処理が停止したり、予期しない動作が発生することがある。バッファ領域について発生するものを「バッファオーバーフロー」、スタック領域について発生するものを「スタックオーバーフロー」という。
ネットワークを通じて外部からコンピュータを乗っ取る攻撃手法の一つとして、不正なデータを送りつけて受信プログラムにわざとオーバーフローを発生させ、攻撃用のプログラムコードを実行するよう仕向ける手法があり、「バッファオーバーフロー攻撃」と呼ばれる。