メモリーカード 【memory card】

概要

メモリーカード(memory card)とは、記憶素子にフラッシュメモリを用いる、小さなカード型のストレージ(外部記憶装置)。指先サイズの薄いプラスチック製のカードで、専用の読み書き装置(メモリーカードリーダ/メモリーカードスロット)から容易に着脱して持ち運ぶことができる。

数mm角から数mm角の小さな薄いプラスチックのカバーの内部にフラッシュメモリチップが内蔵されており、世代や製品にもよるが1枚あたり数MB(メガバイト)から数GB(ギガバイト)のデータを保存できる。カバーの表面の一部に金属端子が露出しており(初期の製品は厚みがありピン型の端子になっているものもあった)、専用の装置に差し込んでデータの読み書きする。

メモリという名称だがコンピュータのメモリメインメモリ/RAM)のような機器の起動中のみデータを保持するものではなく、ハードディスクや光学ディスクと同様に通電の有無に関わらず永続的にデータを保存できるストレージ外部記憶装置)の一種である。

磁気ディスクなど他の方式に比べメディアのサイズが小さく、物理的な動きを伴う駆動装置が不要なため振動や衝撃に強く、対応機器も小型・軽量にしやすい。フラッシュメモリの単価が高いのが難点だったが、近年では技術革新や量産効果などから容量単価の低下が進み、汎用性のある読み書き、着脱、持ち運び可能な記録メディアUSBメモリとメモリーカードがほとんどとなりつつある。

歴史

1990年代後半に本格的に普及し始め、デジタルカメラや携帯電話、近年ではスマートフォンやタブレット端末、家庭用ゲーム機などの小型の情報機器の記憶装置としてよく利用された。パソコンなど汎用のコンピュータ製品で利用するには、メモリーカードリーダーUSBなどで接続し、これに挿入してアクセスする方式が一般的だが、近年ではノートパソコンなどの筐体にあらかじめ特定のカードの読み書きができるスロット(接続端子)が内蔵されていることも多い。

2000年代前半には主な規格だけでも「SDメモリーカード」「マルチメディアカード」(MMC)「スマートメディア」(SmartMedia)「xDピクチャーカード」「メモリースティック」など互いに互換性のない規格が乱立し、さらにこれらのそれぞれについてサイズや容量、接続方式などの異なる数種類から十種類以上の派生規格が存在した。

デジタルカメラなどはメーカーによってカードの規格が異なるといった状況で、複数の異なるカードスロットが搭載されることもあったが、次第に淘汰・集約が進み、2010年代以降はデジタル一眼レフカメラなどにMMC由来の規格が残っている程度で、ほぼSDメモリーカードのみが使われている。

(2018.9.3更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。