テープドライブ 【tape drive】 テープデバイス / テープストリーマ / tape streamer
磁気テープは磁性体を塗布した細長いフィルムをリール(軸)に巻き付けた記憶媒体(記録メディア)で、民生用としては音声録音用のカセットテープや映像録画用のビデオテープがよく知られるが、コンピュータの記憶媒体としても1970年代頃までは最も広く普及していた。
テープドライブは磁気テープへの読み書きを行うコンピュータの周辺機器で、筐体内にカートリッジを挿入して軸(リール)に固定し、軸を回転してテープを前後に繰り出すことで目的の位置の読み書きを行う。カートリッジの開口部から目的の部分を露出させて磁気ヘッドを近づけ、表面の磁化状態を読み取って記録された信号やデータを取り出したり、磁化状態を変化させて記録したりする。
磁気テープには様々な規格があり、それぞれ形状やサイズ、記録方式が異なるため、ドライブもそれぞれのテープに対応したものを利用する必要がある。業務用では主にDLTやLTOなどデータ記録用のテープが用いられるが、個人用コンピュータでは音声用テープカセットに信号を記録するドライブも利用された。
一般的なドライブではカートリッジの着脱は手作業で行うが、大量のテープを管理する用途に向けて、テープの保管庫とドライブ装置を一体化し、保管庫からの取り出しや収納とドライブへの着脱を完全に自動化した「テープライブラリ」と呼ばれるシステムも存在する。
1950年代のコンピュータ創成期から主要なストレージ装置として広く利用された。テープは先頭から順に読み書きするシーケンシャルアクセス(順次走査)しかできないため、1980年代以降は新たに考案された磁気ディスクや光学ディスクなどに主要ストレージの座を明け渡したが、記録密度が高くバイト単価が安いことから現在でも大規模データの長期保管などの用途で用いられる。
(2022.8.16更新)