DLT 【Digital Linear Tape】
概要
DLT(Digital Linear Tape)とは、大量のデータを長期的に保管するのに適した磁気テープ記憶装置の規格の一つ。1980年代から2000年前後まで企業などの情報システムのデータ保管などの用途に用いられていたもので、現在では規格の更新や対応製品の開発は実質的に終了している。幅1/2インチ(約12.65mm)の薄い樹脂製のテープに磁性体を塗布し、芯に巻いてカートリッジに納めた記憶媒体(記録メディア)を用いる。カートリッジをドライブ装置に挿入し、芯を回転させてテープを繰り出しながら、表面の磁性体にデータを書き込んだり読み取ったりする。ドライブの規格を「DLT」、メディアの規格を「DLTtape」という。
歴史
1984年に当時のミニコン大手DEC(Digital Equipment Corporation)社が自社の企業向けコンピュータで使用するストレージ(外部記憶装置)の一種として発表した。当時はDLTという規格にはなっておらず、テープも「CompacTape」の商品名で発売された。当時のカートリッジ一つあたりの記憶容量は94MBだった。
1989年に「CompacTape II」の後継として「DLTtape III」が発表され、以降は「DLT」の名称で認識されるようになった。1994年には米ストレージ装置大手のクァンタム(Quantum)社がDECから関連資産を買収した。
90年代を通じて数十GBの大容量へと進化し、1998年には110GBの「Super DLT」(SDLT/SDLTtape)が発表された。この頃からDAT、DDS、LTOなど他規格との競争が激化し、2005年の「DLT V4」を最後に(出荷終了は2007年)市場から姿を消した。
(2024.3.30更新)