オブジェクトストレージ 【object storage】

概要

オブジェクトストレージ(object storage)とは、記憶装置(ストレージ)の管理・利用方式の一つで、データを「オブジェクト」(object)と呼ばれる単位で記録する方式。

ここで言うオブジェクトとは、利用者の指定したデータのまとまりにストレージシステム側で一意の識別名を割り当てたもので、これを単位にデータの読み込みや書き込みをなう。ファイルストレージのように階層構造のディレクトリなどはなく、データが格納されている装置や装置内での位置(パス)などを利用者が意識する必要はない。

記録するデータは本体とそのデータについての情報メタデータ)がセットで保存される。メタデータファイルシステムのように作成・更新日時や作成者、容量などの情報が記録できるほか、データの種類や形式、保存期限、複製の数、実際の格納位置などが記録されることが多い。利用者が指定した情報を追加することができるシステムもある。

オブジェクトストレージは通常、Webアプリケーションの形で公開され、利用者Webブラウザデータの一覧や出し入れなどの操作をったり、ソフトウェアからHTTPHTTPS、およびREST APIにより操作することができる。オブジェクトの位置はURL/URIで示され、HTTPにより操作の指定やデータの伝送をう。

多くのシステムは米アマゾンドットコムAmazon.com)社が運営するオブジェクトストレージサービスである「Amazon S3」のAPI互換性のあるAPIを利用するようにできている。インターネットなどを介して遠隔から利用できるサービスとして提供される例も多く、「クラウドストレージ」などの名称で呼ばれることもある。

オブジェクトストレージは抽象度の高いストレージであり、ストレージシステム側でデータの複製や分散配置による信頼性の向上、装置の大規模化や並列化やによる性能や容量の向上、市販の汎用的な装置の採用によるコスト低減などを実施することができる。

ファイルストレージのように利用者側のシステムがこうしたことを意識する必要はなくなるが、性能面では装置に直にアクセスする方式に及ばないことが多く、特に頻繁に書き込みや書き換えが必要な用途には向かないとされる。更新頻度の低いデータアーカイブ(長期保管)用途や、ネットワーク上でのデータの配布・配信用途などでよく利用される。

(2024.1.17更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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