NAND型フラッシュメモリ 【NAND flash memory】
概要
NAND型フラッシュメモリ(NAND flash memory)とは、フラッシュメモリの構造・動作原理の一種で、最初に発明されたNOR型フラッシュメモリに次いで2番目に考案された方式。1986年に東芝の舛岡富士雄氏が発明した。フラッシュメモリは半導体メモリの一種で、通電を中断しても記録内容が消えない不揮発性メモリに分類される。磁気ディスクや光学ディスクなどに代わるストレージ装置としてSSDやUSBメモリ、メモリーカードなどの記憶素子に採用されている。
チップ内で記憶素子は格子状に配置され、行に相当するワード線と列に相当するビット線との二つ
の配線に繋がれている。同じ行の素子がビット線に直列に繋がれているものを「NOR型」、並列に繋がれいているものを「NAND型」という。これは制御時に論理回路のNOR回路(否定論理和)やNAND回路(否定論理積)に相当する動作を行うことに由来する。
NAND型の特徴
NAND型はNOR型に比べ回路が小規模で高集積化に向いており、同世代で比較すると大容量で安価な製品が供給される。また、書き込みや消去は高速だが、読み出しは低速でランダムアクセス(規則性なく様々な位置を読み書きする)が苦手という特徴がある。フラッシュメモリ市場の主流を占めており、メモリーカードやSSDなど多くの製品がNAND型フラッシュメモリを採用している。
NAND型フラッシュメモリの特徴として、記憶を保持するメモリセル(記憶素子)がNOR型より大きな単位で信号線を共有しており、数キロバイト分(製品や世代により異なる)の素子を束ねたページ単位で書き込みと読み出しを、数十ページをまとめたブロック(数百キロバイトに及ぶ)単位で消去を行う。
フラッシュメモリの原理上、すでにデータを記憶している素子を直に書き換え(上書き)することはできず、一旦消去してから書き込み直さなければならない。書き込み時には当該ビットを含むブロック全体の内容を一時的な記憶領域に読み出して消去し、新しい内容を反映させてブロック全体を書き戻すという動作になる。各セルは自分を含むブロックのいずれかのセルが書き換えられる度に消去と再書き込みが繰り返されるため、ブロックの小さいNOR型より書き換え寿命に到達しやすい。