磁気テープ 【magnetic tape】 テープメディア / tape media
薄い樹脂素材でできた長さ数m~数百m、幅数mmから数cmのテープの表面に磁化できる金属化合物(鉄やコバルトを含む)の微粒子を塗布、蒸着などで均一に定着させ、端を軸に巻き付けて固定したものがプラスチックケースなどに収められている。
オーディオカセットのようにケース内に2本の軸があり、テープの両端をそれぞれに固定して片方に巻き付けたものと、1本の軸に片端を固定して巻き付け、もう一方はテープドライブ内の軸に固定するタイプがある。後者の方が取り扱いが面倒だが、体積あたりの記憶容量を大きくできる。
特徴
テープを軸に巻きつけて回転させる構造・動作の原理上、端から順番に書き込み・読み出しする用途(シーケンシャルアクセス)に向いており、媒体上の任意の位置を指定して読み書きするランダムアクセスは極端に苦手である。
回転時にテープを引き伸ばす方向の力が加わるため、何度も繰り返し使用することで次第に劣化して破断してしまうことがある。また、記録に磁気を利用するため磁石に触れたり近づけると記録内容が破壊されてしまう。
後に登場したディスク型の媒体などと比べると、同体積で比較した記録密度は高く、同世代の製品なら容量あたりの単価も安い。これらの特徴から、コンピュータ向けでは、端から順番に記録して頻繁にアクセスしない使い途であるバックアップ用や長期保管(アーカイブ)用の記録メディアとしてよく用いられる。
歴史
1920年代のドイツで音声の録音・再生用として実用化されたが国家機密の扱いだったため第二次大戦後に世界に広まった。当初は業務用の録音装置や当時の大型コンピュータ用のストレージ(外部記憶装置)として普及した。1970年代には一般消費者の間にも音声用のいわゆるカセットテープが、1980年代には映像用のいわゆるビデオテープがそれぞれ広く普及した。
20世紀末になるとこれらは次第に磁気ディスクや光学ディスク、フラッシュメモリなど別の原理や形態による記憶媒体に取って代わられるようになり、00年代半ば以降は業務用のコンピュータ向け記憶装置がわずかに使われるのみとなっている。