読み方 : ぞうぶんバックアップ

増分バックアップ 【incremental backup】 インクリメンタルバックアップ

増分バックアップとは、部分バックアップの手法の一つで、繰り返しバックアップを行う際、直前の部分バックアップからの変更点のみを記録していく方式。
増分バックアップのイメージ画像

定期的に繰り返しバックアップを取る場合、すべてのデータを複製するフルバックアップ完全バックアップ)を毎回行うと、変更されていない箇所も毎回複製されるため効率が悪く、バックアップ用の保管領域も大量に必要となってしまう。

増分バックアップはそのような場合に効率を改善するために用いられる部分バックアップ手法で、フルバックアップは数回から数十回に一回程度の低頻度で行い、毎回の定期バックアップでは直近(前回)の増分バックアップ以降に追加、上書き、削除された箇所だけを記録する。

前回から変更されていない箇所は記録されないため、所要時間や記憶容量を大きく減らすことができる。ただし、データを復元するには直近のフルバックアップデータと、以降すべての増分バックアップデータが揃っている必要がある。

例えば、毎日一回バックアップを行うシステムで、毎週日曜にフルバックアップを行い、残りの曜日は増分バックアップを行うようにすると、月曜は月曜一日分の変更点、火曜は火曜の変更点…という具合に記録される。土曜のデータを復旧したければ、日曜のフルバックアップと、月曜から土曜までの増分バックアップをすべて揃える必要がある。

一方、直近のフルバックアップ以降の変更点を毎回すべて記録する部分バックアップ手法は「差分バックアップ」(differential backup)という。日曜にフルバックアップするシステムの場合、月曜の記録内容は増分バックアップと同じだが、火曜は月曜と火曜の二日分の変更点を記録する。増分バックアップより容量や時間は余計にかかるが、復元のためには直近のフルバックアップと特定の時点の部分バックアップだけがあれば良い。

(2022.10.20更新)

他の用語辞典による「増分バックアップ」の解説 (外部サイト)

資格試験などの「増分バックアップ」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
平29秋 問73】 月曜日から金曜日までの業務で、ハードディスクに格納された複数のファイルを使用する。ハードディスクの障害に対応するために、毎日の業務終了後、別のハードディスクにバックアップを取得する。
平28春 問92】 毎週日曜日の業務終了後にフルバックアップファイルを取得し、月曜日~土曜日の業務終了後には増分バックアップファイルを取得しているシステムがある。

▼ 基本情報技術者試験
令1秋 問19】 バックアップ方式の説明のうち,増分バックアップはどれか。ここで,最初のバックアップでは,全てのファイルのバックアップを取得し,OSが管理しているファイル更新を示す情報はリセットされるものとする。
平28修1 問18】 次の仕様のバックアップシステムにおいて,金曜日に変更されたデータの増分バックアップを取得した直後に磁気ディスクが故障した。
平25春 問21】 次の仕様のバックアップシステムにおいて,金曜日に変更されたデータの増分バックアップを取得した直後に磁気ディスクが故障した。