増分バックアップ 【incremental backup】 インクリメンタルバックアップ
定期的に繰り返しバックアップを取る場合、すべてのデータを複製するフルバックアップ(完全バックアップ)を毎回行うと、変更されていない箇所も毎回複製されるため効率が悪く、バックアップ用の保管領域も大量に必要となってしまう。
増分バックアップはそのような場合に効率を改善するために用いられる部分バックアップ手法で、フルバックアップは数回から数十回に一回程度の低頻度で行い、毎回の定期バックアップでは直近(前回)の増分バックアップ以降に追加、上書き、削除された箇所だけを記録する。
前回から変更されていない箇所は記録されないため、所要時間や記憶容量を大きく減らすことができる。ただし、データを復元するには直近のフルバックアップデータと、以降すべての増分バックアップデータが揃っている必要がある。
例えば、毎日一回バックアップを行うシステムで、毎週日曜にフルバックアップを行い、残りの曜日は増分バックアップを行うようにすると、月曜は月曜一日分の変更点、火曜は火曜の変更点…という具合に記録される。土曜のデータを復旧したければ、日曜のフルバックアップと、月曜から土曜までの増分バックアップをすべて揃える必要がある。
一方、直近のフルバックアップ以降の変更点を毎回すべて記録する部分バックアップ手法は「差分バックアップ」(differential backup)という。日曜にフルバックアップするシステムの場合、月曜の記録内容は増分バックアップと同じだが、火曜は月曜と火曜の二日分の変更点を記録する。増分バックアップより容量や時間は余計にかかるが、復元のためには直近のフルバックアップと特定の時点の部分バックアップだけがあれば良い。
(2022.10.20更新)