CPRM 【Content Protection for Recordable Media】
概要
CPRM(Content Protection for Recordable Media)とは、DVDなどに採用されている、記録メディア向けの著作権保護技術の一つ。利用者側で内容を書き込み可能なメディア(recordable media)向けの方式で、コンテンツのデジタルコピーをメディアに記録する際の一度だけ許容し、メディアから他の機器やメディアへのコピー(ダビング)を禁じる「コピーワンス」を実現する。CPRM対応メディアには1枚ごとに固有の「メディアID」と一定の生産枚数ごとに変更される「MKB」(Media Key Block)と呼ばれる情報が記録されている。メディアにコンテンツを記録する際にはこの2つに加え録画機器の持つ「デバイスキー」を用いて暗号化を行い、記録する。
他のメディアにコンテンツをコピーすると暗号化されたデータ本体を記録することはできるが、メディアIDやMKBまではコピーできないため、復号時に暗号化に使用した鍵を生成することができず、再生することができない。
かつてDVDで使われていたCSS(Content ScramblingSystem)方式は再生機器の暗号鍵の管理がずさんなメーカーがあったため、すべての暗号を解除できるソフトウェアが公開され実質的に無効化されてしまったが、CPRMではこれを防ぐための機構が用意されている。
録画機器の持つデバイスキーが流出すると、新規に生産される記録メディアのMKBを変更して、そのデバイスキーを元に鍵を生成できないよう設定する。すでに生産され流通しているメディアMKBは変更できないが、新しいメディアでは流出したデバイスキーを持つ機器での記録や再生ができなくなるため、万能の暗号解除ソフト等を作ることはできない。
CPRM対応の録画用メディアとしては、DVD-RAM、DVD-RW、SDメモリーカードなどがある。2004年4月5日から、BS/地上デジタルテレビ放送に、原則「1回だけ録画可能」(コピーワンス)なコピー制御信号が加えられ、デジタル放送番組のデジタル録画をするためには、CPRMに対応しているレコーダーと録画用メディアが必要となった。「1回だけ録画可能」なデジタル放送をデジタル録画した場合、他のデジタル機器にはダビングできず、CPRM対応プレーヤーでなければ再生できない。
CPPM (Content Protection for Prerecorded Media)
著作物の収録された再生専用メディア(prerecorded media)の違法コピーを防ぐ技術。1999年に米IBM社、米インテル(Intel)社、松下電器(現パナソニック)、東芝などによって提案された。主に映像作品などの収録されたDVDメディアで採用されている。
メディアの内容は暗号化されて記録され、メディア本体とメディアを再生する機器(もしくはソフトウェア)がそれぞれ暗号を解読するために必要な暗号鍵を持っている。メディア側の持つ鍵と、再生機器側の鍵がそろわなければ、暗号化されたメディアを復号し再生することはできない。
メディア側の鍵はMKB(Media Key Block)と呼ばれ、メディア内のリードイン領域と呼ばれる場所に記録されている。リードイン領域は、通常のディスク操作ではアクセスできない領域であり、一般的な方法による複製ではリードイン領域の内容はコピーされない。つまり、違法コピーによって複製されたメディアは正しい鍵を持っていないことになり、再生できない。
CPPMでは、かつてDVDメディアの暗号化技術であるCSS(Content Scrambling System)において秘密の暗号鍵の流出により暗号が破られた経験を踏まえて、暗号をより強力にし、万が一暗号鍵が流出した場合でもその鍵を無効にすることができるようになっている。
CSS (Content Scrambling System)
市販のDVD映像ソフトの多くに採用されていたデジタルコピー防止機構。映像データにスクランブルをかけ、CSSデコーダを内蔵したプレーヤでしか再生できないようになっている。
CSSではマスター鍵、ディスク鍵、タイトル鍵という3種類の暗号鍵が用いられる。タイトル鍵はディスク内に記録されたタイトルごとに設定される鍵で、コンテンツの暗号化に使用される。ディスク鍵はディスクごとに設定される鍵で、そのディスクで使用されるタイトル鍵の暗号化に使用される。
マスター鍵はDVD機器製造メーカーに個別に割り当てられる鍵で、これを使用してディスク鍵を暗号化し、ディスクの先頭に記録する。復号時にはDVD機器や再生ソフトが内蔵するマスター鍵でディスク鍵を復号し、ディスク鍵でタイトル鍵を復号してコンテンツのスクランブルを解除する。
再生ソフトでのマスター鍵の管理がいい加減なメーカーが存在したため、CSSはあっさり破られてしまった。1999年11月にノルウェーの数人のプログラマによって「DeCSS」というCSSスクランブル解除ソフトが開発され、インターネットなどを通じて世界中に公開された。これを機にCSSは使われなくなり、このような手法が通じないよう工夫されたCPRMやCPPMに取って代わられた。