MMC 【MultiMedia Card】 マルチメディアカード

概要

MMC(MultiMedia Card)とは、メモリカードの規格の一つ。フラッシュメモリを利用した切手大の記憶装置で、携帯情報機器のストレージ(外部記憶装置)などで用いられる。1997年に独ジーメンス(Siemens)社と米サンディスク(SanDisk)社が開発し、業界団体MMCA(MultiMediaCard Association)が標準化った。MMCAは2008年にJEDECに統合されている。

当初規格における標準サイズのカードは幅24mm×長さ32mm×厚さ1.4mm、重さが2g弱、記憶容量は最大で4GBまで、データ転送速度は最高2.5MB/sメガバイト毎秒)となっている。サイズを縮小したRS-MMC、MMCmicroなどの規格もある。高度化規格のMMCplus/MMCmobileでは最大容量128GB、最高伝送速度104MB/s拡張されている。

MMCを参考に開発されたメモリカードの規格にSDメモリーカードがあり、形状や端子の仕様の一部が揃えてあるため、SDカードスロットの中にはMMCの読み書きに対応しているものもある(逆はできない)。派生規格として、機器の内部に固定して使用する(カード着脱式ではない)フラッシュメモリ記憶装置eMMC(embedded MMC)があり、携帯情報機器の内蔵ストレージなどで用いられる。

RS-MMC (Reduced Size Multimedia Card)

MMCの形状・サイズを小型化したメモリーカード仕様の一つ。2002年にMMC規格に追加された。

通信仕様や接続端子、厚みなどはMMCと同じだが、サイズが幅18mm×長さ24mm×厚さ1.4mm、重さ0.8gとMMCのおよそ半分の大きさ、重さとなっている。アダプタによりサイズをMMCと同じにすることができ、既存のMMC対応スロットでも使用可能である。

MMCmicro

MMCの形状・サイズを小型化したメモリーカード仕様の一つ。2005年にMMC規格に追加された。大きさは幅12mm×長さ14mm×厚さ1.1mm。独自の10ピン端子で最高26MB/sの速度でデータを伝送できる。

MMCplus

MMCの接続端子・通信仕様を高度化した規格の一つ。2004年にMMC規格に追加された。

カード形状は通常のMMCと同様だが、端子が従来の7ピンから一列増やして13ピンとなり、最高104MB/sでの通信が可能となった。従来規格と後方互換性があり、カードかリーダーのいずれかが7ピンの場合は従来の方式で接続できる。

MMCmobile

MMCを小型化し、通信仕様を高度化した規格の一つ。2004年にMMC規格に追加された。

小型のRS-MMCサイズ(幅18mm×長さ24mm×厚さ1.4mm)の形状で、接続方式はMMCplusと共通している。従来から一列増設した13ピンの端子で最高104MB/sでの通信が可能。RS-MMCにしか対応しない製品でも従来方式で接続できる。

SecureMMC

MMCにデジタル著作権保護(DRMDigital Rights Management)機構を追加したメモリーカード仕様。2000年に最初の製品が発表された。形状や通信方式などはMMCと同様だが、三洋電機(当時)、日立製作所、富士通が共同開発した「UDAC-MB」方式の著作権保護機能を内蔵している。

カード内にTRM(Tamper Resistant Module)と呼ばれる外部から解析不能な特殊な回路を設け、ここに暗号鍵などを保存しておくことができる。コンテンツ暗号化された状態で配信・記録され、正規のライセンスキーを購入した利用者しかデータ復号・再生できないため、不正コピーを防止することができる。

(2018.1.2更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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