DDS 【Digital Data Storage】
概要
DDS(Digital Data Storage)とは、コンピュータの外部記憶装置(ストレージ)の一つで、音声録音用の磁気テープの一種であるDAT(Digital Audio Tape)をデータ記録用に流用したもの。磁性体を塗布した細長い樹脂製のテープを軸に巻き取った磁気テープ記憶装置の一つで、DAT用に製造・販売された磁気テープカートリッジを記憶媒体とする。後に、DATと同一の技術基盤だが異なる仕様のカートリッジが用いられるようになった。
ディスク(円盤)型の記憶媒体を用いる装置に比べ、テープは逐次的(シーケンシャル)にしか読み書きできず、素早く任意の箇所にアクセスすることは苦手だが、一媒体あたりの記憶容量や容量あたりの単価は同時代のディスク装置より優れる。
また、コンピュータ専用の磁気テープ規格に比べ、音楽用にすでに大量生産されていたDAT(やその製造ライン)を流用できることから、他のテープ装置より低コストで製造でき、利用者側もカートリッジの入手が容易であるという特徴がある。
世代ごとの仕様
1989年に最初の規格「DDS-1」が発表され、一巻60mのテープに1.3GB(非圧縮時)までのデータを記録することができた。読み書き時に自動的にデータを圧縮、展開する記録モードが設けられており、この圧縮モードでは約2倍の2.6GBまで記録できた。
その後、テープ長120m/容量4GB(非圧縮時)の「DDS-2」(1993年)、同125m/12GBの「DDS-3」(1996年)、150m/20GBの「DDS-4」(1999年)などを経て、2003年からは規格名称が「DAT 72」(170m/36GB)となり、公式にはDDSの名称は使われなくなった。
さらに2007年の「DAT 160」(154m/80GB)ではテープ幅が従来の3.8mmから8mmに変更され、カートリッジ形状も従来より厚くなり、オリジナルのDAT規格とは物理的な仕様が異なるものとなった。後継となる2009年の「DAT 320」(153m/160GB)を最後に規格の更新や対応機器の製造、販売は行われなくなり、実質的に廃止状態となっている。