SDメモリーカード 【Secure Digital memory card】

概要

SDメモリーカード(Secure Digital memory card)とは、事実上の標準として広く普及しているメモリーカードの規格。切手大あるいは小指の先ほどのプラスチック製のカードにフラッシュメモリが内蔵されており、データを記録・保存・交換することができる。「SDカード」「SD」と略して呼称されることが多い。

フルサイズのカードは幅24mm×長さ32mm×厚さ2.1mmの切手大で約2g、小さなサイズの「microSDメモリーカード」(マイクロSD)は幅11mm×長さ15mm×厚さ1.0mmの小指の先ほどの大きさで約1g。これらはサイズ以外の仕様は共通となっている。

当初の規格では最大記憶容量2GBギガバイト)、データ転送速度は2MB/sメガバイト毎秒)程度だったが、後継のSDHC規格では最大32GBに、SDXC規格では最大2TBテラバイト)に、SDUC規格では最大128TB拡張された。

転送速度は製品により異なるが、大容量のものでは数十MB/sから100MB/s以上へ高速化が進んでいる。これらの拡張仕様は古い仕様の上位互換となっており、「SDカード」はこれらを含めた総称、あるいは上位規格のいずれかを指すことが多い。

世代 \ 形状フルサイズminiSDmicroSD最大容量ファイル
システム
発表
SDSDminiSDmicroSD2GBFAT161999年
SDHCSDHCminiSDHCmicroSDHC32GBFAT322006年
SDXCSDXC-microSDXC2TBexFAT2009年
SDUCSDUC-microSDUC128TBexFAT2018年
幅×長さ
厚さ
(mm)
24×32
2.1
SDカード
20×21.5
1.4
miniSDカード
11×15
1.0
microSDカード
面積 (mm2)768430165
体積 (mm3)1613602165
重さ約2g約1g約0.5g
端子9ピン11ピン8ピン
(画像は © Digipot.net による)

2000年前後には主要なものだけで5種類ほどが乱立していたメモリーカード規格のうちの一つに過ぎなかったが、徐々に他の規格を淘汰して市場シェアを広げ、2010年代には事実上の標準として広く普及している。

多くのノートパソコンスマートフォンにはSDカードスロットやmicroSDカードスロットが設けられているほか、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、HDDレコーダー、家庭用ゲーム機、カーナビゲーションシステムなど、デジタル家電を中心に標準のストレージ外部記憶装置)の一つとして普及している。

SDHC/SDXC/SDUC

1999年に発表された初期のSD規格はファイルシステムに古いWindowsMS-DOSで標準だった「FAT16」を採用したこともあり、幅広い機器で汎用的に利用できた反面、すぐに容量上限の2GBに到達する製品が現れた。

2006年には標準のファイルシステムを「FAT32」に変更し、最大容量を32GB拡張した「SDHCメモリーカード」(SD High Capacity)が策定された。しかし、フラッシュメモリの半導体素子の微細化・高密度化は予想以上に速く進み、2年後には早くも上限の32GBに到達した。

2009年にはフラッシュメモリ製品向けに新たに開発された「exFATファイルシステムを利用する「SDXCメモリーカード」(SD Extended Capacity)が発表され、最大容量は2TBに大幅に拡張された。2018年には「SDUCメモリーカード」(SD Ultra-Capacity)が発表され、exFATの上限である128TBまでのカードを作れるようになった。

miniSD/microSD

小型の携帯機器で利用しやすいよう、一回り小さいサイズの「miniSDメモリーカード」(幅20mm×長さ21.5mm×厚さ1.4mm)規格が2003年に策定され、主に携帯電話で用いられた。

2005年にはさらに小さな「microSDメモリーカード」が策定され、以降は小型の機器ではmicroSDが主に使われるようになった。miniSD/microSD共にカードサイズ以外の仕様はフルサイズのカードとほぼ同等であり、スロットに形状を適合させるだけの簡易なアダプタを通じてフルサイズカードとして使用することができる。

スピードクラス

データ伝送速度はカードや機器(カードスロット/カードリーダー)の性能によって左右され、光学ディスク/ドライブと同じように150KB/sキロバイト毎秒)を基準とする「n倍速」表記が用いられることもある。例えば、「10倍速」「10x」は1.5MB/sを意味する。

また、カード側で最低限保証するスピードを表す規格として「スピードクラス」が定められており、初期の「SDスピードクラス」では、2MB/sを保証する「Class 2」、4MB/sを保証する「Class 4」、6MB/sを保証する「Class 6」、10MB/sを保証する「Class 10」などがある。

UHS」(Ultra-High Speed)と呼ばれる高速な接続仕様を実装したカードでは「UHSスピードクラス」が用いられ、10MB/sを保証する「Class 1」や30MB/sを保証する「Class 3」が定義されている。

クラスと保証速度
SDスピードクラス
Class 22MB/s
Class 44MB/s
Class 66MB/s
Class 1010MB/s
UHSスピードクラス
Class 110MB/s
Class 330MB/s
「x倍速」表記
表記転送速度
(1倍速)150KB/s
60倍速9MB/s
80倍速12MB/s
120倍速18MB/s
133倍速20MB/s
150倍速22.5MB/s
200倍速30MB/s
400倍速60MB/s
600倍速90MB/s
バス(通信路)の転送モード
転送モード最高速度
Normal Speed (NS)12.5MB/s
High Speed (HS)25MB/s
Ultra High Speed (UHS)
UHS-ISDR1212.5MB/s
SDR2525MB/s
SDR50/DDR5050MB/s
SDR104104MB/s
UHS-IIUHS156/FD156156MB/s
HD312 *312MB/s
* 半二重通信
(2024.6.18更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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