Fibre Channel 【ファイバーチャネル】 FC

概要

Fibre Channel(ファイバーチャネル)とは、コンピュータ本体とストレージ(外部記憶装置)などを結ぶ光ファイバーを用いた高速な接続規格の一つ。伝送制御にSCSIに由来する仕様を含み、主に企業の情報システムSAN(ストレージエリアネットワーク)を構成するのに用いられる。

機器の物理的な仕様(PHY)から伝送制御、通信プロトコル通信規約)などを5つの階層(FC-0~FC-4)に分けて規定している。最上位のFC-4は上位プロトコルへの対応付け(マッピング)をう層で、利用可能なプロトコルごとに接続仕様が設けられている。上位層にはSCSISmall Computer System Interface)やIPInternet Protocol)がよく用いられる。

伝送速度の推移

物理層伝送速度は1993年の最初の規格では回線速度133Mbpsメガビット毎秒)・実効速度(スループット)12.5MB/sメガバイト毎秒)だったが、1997年には同約1Gbpsギガビット毎秒)・100MB/sの「1GFC」仕様が策定され、以降は数年毎に2倍に伝送速度を向上(2GFC/4GFC/8GFC)させていった。

2011年には約14Gbps・1.6GB/sの16GFC、2016年には約28Gbps・3.2GB/sの32GFCへと高速化された。32GFCはスイッチ間接続のみ4回線を束ねて一体的に運用する128GFC(第6世代)とすることができ、実効12.8GB/sで伝送できる。

光ファイバーの種類と伝送距離

安価なマルチモード光ファイバーMMF)の場合、低速な1GFCから4GFCなどで最長300m~500m程度を、高速な16GFCや32GFCでは50m~100m程度までの長さを伝送できる。高価なシングルモード光ファイバーSMF)を用いると、1GFCから4GFCで最長10km~50km、16GFCや32GFCで2~10kmと長距離を伝送できる。

機器と光ファイバーケーブルの接続には、ギガビットイーサネットGigabit Ethernet)などでも使われるSFPQSFPなどのコネクタ仕様が用いられる。

トポロジー

主な接続形態は、2台の機器を相対に繋げるポイントツーポイント(FC-P2P:Point-to-Point)と、全機器を数珠つなぎで環状に接続する調停ループ(FC-AL:Arbitrated Loop)、FCスイッチという中継装置を介して全機器を繋げるスイッチドファブリックFC-SWSwitched Fabric)の3種類がある。

FC-ALは一つのループに最大127台まで接続できるが、全機器で一つの回線を共有するため用途によっては伝送容量が逼迫することがあり、故障や保守のために一台が止まるとループ全体が停止するという制約がある。

FC-SWは高価な専用の通信機器を要するが、最も拡張性が高く、各回線には末端の機器に関係する通信のみ流すようスイッチが制御するため伝送効率も良い。

FC-SAN

Fibre Channelの主な用途として、一つのシステムを構成する複数のサーバコンピュータと複数の独立したストレージ機器をネットワークで相互に結ぶSANStorage Area Network)がある。Fibre Channelで構成されるSANFC-SANという。

SANコンピュータに直にストレージ装置を取り付けるのと同じように(ファイルシステムなどを介さず)外部のストレージと接続することができる。ネットワーク化することによりサーバ側の物理的な構成とは独立にストレージ機器の拡張や割り当て、管理ができ、サーバ側からは内蔵ストレージのように低水準の制御が可能となる。

(2018.7.25更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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