バックアップ【backup】
バックアップとは?
バックアップとは、コンピュータやサーバ、スマートフォンなどに保存されたデータを、別の記憶装置や記録媒体へ複製して保管しておくことである。複製を作成する操作や処理を「バックアップ」と呼ぶ場合と、作成された複製データそのもの(またはそれを記録した媒体)を「バックアップ」と呼ぶ場合がある。
機器の故障や破損、人為的な誤操作、不正アクセス、自然災害などによって元のデータが消失・破損した際に、保存しておいた複製を使って以前の状態へ復旧できる。この復旧操作は「リストア」(restore)または「リカバリ」(recovery)と呼ばれる。バックアップはリストアを前提とした手段であり、複製を取るだけでなく、正しくリストアできる状態を維持することが求められる。
保存先としては、外付け型のハードディスクやSSDなど手元のストレージ装置、光ディスクや磁気テープなどの可搬媒体、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、クラウドストレージなどがある。障害の影響が複製にも及ぶことを防ぐため、元データとは異なる媒体や、物理的に離れた遠隔地にも複製を保管する運用が行われる。データ保護の指針として「3-2-1ルール」が知られており、複製を3つ以上持ち、2種類以上の異なる媒体に保存し、そのうち少なくとも1つは遠隔地に置くことが推奨される。
バックアップは利用者が手動で実施する場合もあれば、専用ソフトウェアやオペレーティングシステム(OS)の標準機能によって定期的に自動実行される場合もある。近年ではネットワークの高速化やクラウドサービスの普及に伴い、インターネット経由で遠隔地のデータセンターへ定期的にデータを同期する「オンラインバックアップ」も一般化している。
バックアップの方式
バックアップの方式は、対象範囲や処理内容によっていくつかに分類される。対象データをすべて複製する「フルバックアップ」(完全バックアップ)は、リストアが容易である反面、処理時間と保存容量が大きくなる。前回のバックアップ以降に変更されたデータのみを複製する「増分バックアップ」や「差分バックアップ」は保存容量を抑えやすいが、リストア時に複数のバックアップデータを組み合わせる必要がある。実際の運用では、これらを組み合わせて効率的なデータ保護体制を構築する。
また、システム全体の状態をまるごと保存する「イメージバックアップ」や、特定のファイルやフォルダのみを対象とする「ファイルバックアップ」など、目的に応じた手法も用いられる。近年では、データを暗号化して利用不能にするランサムウェア攻撃への対策として、ネットワークから物理的または論理的に切り離した環境に複製を保管する「オフラインバックアップ」や、消去や書き換えが不可能な「イミュータブルバックアップ」の重要性も高まっている。
機器・設備のバックアップ
「バックアップ」という語はデータ以外にも用いられる。通常使用している機器や設備が正常に稼働できなくなった際に、その機能を引き継ぐ代替機器や設備を指して「バックアップ」と呼ぶ場合がある。「バックアップ回線」「バックアップサーバ」などの用例がある。
主系統の機器が停止した際に自動で副系統へ切り替わる仕組みは「フェイルオーバー」(failover)と呼ばれる。副系統を常時稼働させておく構成は「ホットスタンバイ」、必要時にのみ起動する構成は「コールドスタンバイ」と呼ばれ、求められる可用性やコストに応じて使い分けられる。
このような機器・設備の二重化は「冗長化」「冗長構成」とも呼ばれ、24時間365日の継続稼働が求められる企業の基幹システムや社会インフラなどで採用されている。データバックアップが過去の状態を復元するための備えであるのに対し、機器・設備のバックアップは現在の処理を途切れさせないための備えという性格を持つ。
関連用語
他の辞典等による「バックアップ」の解説 (外部サイト)
- ウィキペディア「バックアップ」
- 総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト 用語集「バックアップ」
- 日経 xTECH Active キーワード「バックアップ」
- SOMPO CYBER SECURITY サイバーセキュリティ用語集「バックアップ」
- @IT セキュリティ用語事典「バックアップ」
- Insider's Computer Dictionary「バックアップ」
- NTT西日本 ICT用語集「バックアップ」
- ミツエーリンクス Web「経営革新ツール」用語集「バックアップ」
- IODATA 知っておきたい用語集「バックアップ」
- IODATA ビジネスNAS入門「バックアップ」
