DDR5 SDRAM 【PC5】 Double Data Rate 5 Synchronous Dynamic Random Access Memory
概要
DDR5 SDRAM(PC5)とは、パソコンなどに使われる半導体メモリ(DRAM)の規格の一つで、DDR4 SDRAMを改良した第5世代のDDR SDRAM規格。主にパソコンやサーバのメインメモリとして利用される。DDR5 SDRAMは同一の動作クロックで比較すると前世代のDDR4の2倍、二世代前のDDR3の4倍の速度のデータ伝送が可能となっている。電源電圧はDDR4の1.2Vから1.1Vに下がり、消費電力も抑えられている。このような低電圧でも電圧の変動幅を一定幅に抑えるため、メモリモジュール内に電圧レギュレータ(PMIC)が内蔵されるようになっている。
標準のメモリモジュール(DIMM)のサイズや形状はDDR4以前と変わらず、入出力ピン数もDDR4同様288ピン(小型のSO-DIMMは262ピン)である。DDR4やDDR3など過去の規格と互換性が無いため、誤挿入を防ぐため端子の切り欠き(キー)の位置がDDR4やそれ以前の規格とは異なっている。
複数のメモリチップを束ねて一体的に運用するメモリバンクのグループ数がDDR4の4から8に倍増(1グループあたりのバンク数は従来通り4)し、最大32バンクを独立に制御できる。チップ内の配線や素子の微細化および記憶密度の向上によるエラーや欠陥の増大に対応し、チップごとに誤り訂正機構(オンダイECC)が組み込まれた。
DDR5 SDRAMの規格にはメモリの周波数を示す「チップ」とメモリの転送速度を示す「モジュール」の二種類により規定され、前者は動作周波数を元に「DDR5-xxxx」の形式で、後者はデータ転送速度を元に「PC5-yyyyy」の形で表記される。例えば、「DDR5-4800」のチップはバスクロック2400MHzのDDR(4800MT/s)で、これを搭載したモジュールは「PC5-38400」で、外部と最大38.4GB/sの伝送速度で通信できる。
メモリチップ | メモリモジュール | バスクロック | 転送回数 | 転送速度 |
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DDR5-4000 | PC5-32000 | 2000MHz | 4000MT/s | 32.0GB/s |
DDR5-4400 | PC5-35200 | 2200MHz | 4400MT/s | 35.2GB/s |
DDR5-4800 | PC5-38400 | 2400MHz | 4800MT/s | 38.4GB/s |
DDR5-5200 | PC5-41600 | 2600MHz | 5200MT/s | 41.6GB/s |
DDR5-5600 | PC5-44800 | 2800MHz | 5600MT/s | 44.8GB/s |
DDR5-6000 | PC5-48000 | 3000MHz | 6000MT/s | 48.0GB/s |
DDR5-6400 | PC5-51200 | 3200MHz | 6400MT/s | 51.2GB/s |
DDR5-6600 | PC5-52800 | 3300MHz | 6600MT/s | 52.8GB/s |
DDR5-6800 | PC5-54400 | 3400MHz | 6800MT/s | 54.4GB/s |
DDR5-7000 | PC5-56000 | 3500MHz | 7000MT/s | 56.0GB/s |
DDR5-7200 | PC5-57600 | 3600MHz | 7200MT/s | 57.6GB/s |
DDR5-7600 | PC5-60800 | 3800MHz | 7600MT/s | 60.8GB/s |
DDR5 SDRAMの規格は電子部品の業界団体JEDECが標準化を進めており、最初の仕様は2020年に発表された。その後より高速な仕様が順次追加されている。2021年頃から徐々に対応製品が普及し始めているものの、DDR4からの世代交代は緩やかに進んでおり、高性能機種(ハイエンドモデル)への採用が中心となっている。