LTO Ultrium
概要
LTO Ultriumとは、大量のデータを長期的に保管するのに適した磁気テープ記憶装置の規格LTO(Linear Tape Open)の一部で、大容量の磁気テープカートリッジと対応ドライブ装置の規格。業界団体のLTOコンソーシアム(LTO Consortium)が仕様の策定を行っており、いくつかの企業が対応製品を製造・販売している。LTO Ultriumのテープカートリッジは幅105.4mm×奥行き102mm×厚さ21.5mmの直方体で、内部のリールに幅1/2インチ(約12.65mm)の磁気テープが数百メートル巻きつけられた構造になっている。テープの厚さは初期には8.9μm(マイクロメートル)だったが、近年の規格では5.2μmに薄型化されている。
当初の規格(LTO-1)は一つのカートリッジに609mのテープを納め、非圧縮時で100GB(ギガバイト)、圧縮時には平均200GBのデータを記録できる。データの読み書き速度は非圧縮時で20MB/s(メガバイト毎秒)、圧縮時は平均40MB/sとなっている。
2002年の「LTO-2」、2005年の「LTO-3」と数年ごとに新しい規格が発表され、2021年には1035mのテープに非圧縮時18TB(テラバイト)を記録できる「LTO-9」が発表された。圧縮方式の改良により圧縮時には平均45TBを記録できるとされており、データ転送速度は非圧縮時400MB/s、圧縮時1000MB/sとなっている。
LTO Ultriumのドライブ装置は規格上の要請により、2世代前までの規格のテープの読み出しと、1世代前のテープの書き込みに対応している。LTO-3からは一度書き込んだ内容の消去や上書きのできない「WORM」(Write Once Read Many)カートリッジに、LTO-4からはデータの暗号化に、LTO-5からはパーティション分割に対応した。
LTO規格にはUltriumの他に高速読み出しを指向した「LTO Accelis」(アクセリス)があったが、Accelisは市場に浸透せず対応製品の開発や規格の更新は実質的に休止状態となっており、単にLTOといった場合はUltriumを指すことが多い。