コンパクトフラッシュ 【CompactFlash】 CF

概要

コンパクトフラッシュ(CompactFlash)とは、デジタル一眼レフカメラなどでよく利用されたメモリーカードの規格の一つ。1994年に米サンディスク(SanDisk)社が開発したもので、同社を中心とする業界団体CompactFlash Associationが商標の管理や標準規格の策定を行っていた。

ノートパソコンなどの拡張カードの標準規格である「PCカード」を元に開発されたもので、当初の規格では電気的な仕様や通信方式などにPCカードと同じパラレルATA方式を採用していた。厚みもPCカード規格に揃えてあり、カードサイズを補間する簡易なアダプタを介してノートパソコンなどのPCカードスロットに差し込んで使用することができた。

主にフラッシュメモリを利用したメモリーカードとして用いられるが、PCカードから発展した経緯から、コンピュータに特定の機能を追加する拡張カードとすることもでき、実際、PDA(携帯情報端末)向けの移動体通信カードなどが提供されたこともあった。

コンパクトフラッシュType I

最も基本的なサイズ・形状を「Type I」(タイプワン)という。幅36.4mm×長さ42.8mm×厚さ3.3mmで、PCカードType Iと厚みを揃えてあるため、簡易なアダプタでPCカードType Iスロットに挿入できる。当初からある最も基本的な形状で、ほとんどのカードはこの形状であるため、あえて「Type I」と明記されることは少ない。

コンパクトフラッシュType II

Type Iの厚みを増して5mmとしたものを「Type II」(タイプツー)という。幅36.4mm×長さ42.8mm×高さ5mmで、幅と高さはType Iカードに、厚みはPCカードType IIと同様である。サイズ以外の仕様はType Iカードと共通であり、Type II用のスロットにはType Iカードを挿入して使用することができる。Type IIカードには容量の大きなメモリーカードや、内部に極小のハードディスクを内蔵したカードなどがある。

CF+

コンパクトフラッシュの拡張仕様の一つで、カードへ供給する電流の向上や、長さを伸ばした「はみ出し」形状のカード、ATA非互換の接続端子などについて定めたもの。1999年に標準規格に追加された。一部の携帯通信カードや内部に超小型のハードディスクを内蔵した「マイクロドライブ」などの製品はCF+の拡張仕様を利用している。

後継規格

コンパクトフラッシュは1990年代後半から2000年代にかけてデジタルカメラのメモリーカードなどとして普及したが、メモリーカード規格の中では相対的にサイズが大きかったことなどから小型の機種では採用されにくくなった。その大きさゆえに大容量化しやすかったため、デジタル一眼レフカメラでは根強く採用された。

同じカードサイズや端子形状を受け継いだ後継規格として「XQDメモリーカード」や「CFast」があり、転送方式を近代的なシリアル方式とするなど高速化・大容量化が進んだ。これらも主にデジタル一眼レフカメラ用として利用された。両者を統合した最新の規格として「CFexpress」が策定されており、NVM Expressインターフェースで高速にデータ転送を行うことができる。

(2025.9.9更新)

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