ATA 【Advanced Technology Attachment】 PATA / パラレルATA

概要

ATA(Advanced Technology Attachment)とは、コンピュータ本体にハードディスクなどのストレージ装置(外部記憶装置)を繋いで通信するための接続方式の標準規格の一つ。1980~90年代のパソコンで内蔵ストレージ装置の接続に標準的に用いられた。

1986年に考案され事実上の標準としてすでに広く普及していた「IDE」(Integrated Drive Electronics)方式を、1994年にANSI(米国国家規格協会)が後追いで「ATA-1」として標準化した規格である。「ATA」の名称は1989年に提唱された。

ATA規格はいわゆるPC/AT互換機における内蔵ストレージの接続規格の標準として広く利用された。ATA-1では最大528MB(メガバイト)までのハードディスクを2台まで接続でき、最大8.3MB/sメガバイト毎秒)の速度で転送が可能だった。

1996年のATA-2では、「EIDE」(Enhanced IDE)として知られる業界標準の仕様を取り込み、LBALogical Block Addressing)の導入により最大容量の制限が緩和され、接続台数も4台までに拡張、転送速度も高速化された。

1998年のATA-4では、ハードディスク以外のストレージ装置を接続できる「ATAPI」(ATA Packet Interface)仕様を統合し、CD-ROMドライブなどの接続に広く利用された。「Ultra DMA」(Ultra ATA)転送モードで最大33.3MB/sの高速なデータ転送が可能となった。

ATA-5(2000年)、ATA-6(2002年)、ATA-7(2005年)ではより高速な転送モード、大容量ドライブ対応(Big Drive)などが追加された。ATA-7と同時期にシリアル転送方式を採用した「シリアルATA」(SATASerial ATA)が策定され、以降はSATAストレージ接続の標準として普及した。

シリアルATA規格の普及以降は、旧来のパラレル方式のATA規格を指す後付けの用語(レトロニム)として「パラレルATA」(PATA:Parallel ATA)という名称で呼ばれるようになった。SATAと区別するための通称であり、規格上の正式名称ではない。

ATAPI (ATA Packet Interface)

ATAの拡張仕様で、ハードディスク以外の装置を接続するための方式を「ATAPI」という。もともとATAとは別に開発されていたが、1998年のATA-4で「ATA/ATAPI-4」としてATAの拡張仕様として統合された。

主にパソコンの内蔵CD-ROMドライブや内蔵DVD-ROMドライブ、大容量フロッピーディスクやZipドライブなどの着脱可能な磁気ディスクドライブインターフェース仕様として広く普及し、企業向けコンピュータ製品では磁気テープ装置などの接続にも使われた。

初期のATA規格はハードディスクの物理的な構造に依存した仕様となっており、そのままでは他の種類の記憶装置を取り扱うことができなかった。ATAPIでは当時すでに汎用の周辺機器接続方式として普及していた「SCSI」(Small Computer System Interface)と同じコマンド群やデータ形式を転用し、「メディアを取り出す」といったハードディスクにはない制御を可能とした。

IDE/EIDE

ATA規格の原型となった、コンピュータにハードディスクを接続するための技術仕様を「IDE」(Integrated Drive Electronics)という。1986年に米コンパック・コンピュータ(Compaq Computer)社(当時)などが提唱した。

PC/AT互換機ハードディスクを接続する方式として開発されたもので、ドライブ側にコントローラを統合するなどして本体側の構成を従来の方式より簡素化、低コスト化した。初期の規格では504MBまでのハードディスクを同時に2台まで接続することができる。ケーブル長は60cmまででハードディスク以外の機器は接続できない。

1994年にはハードディスク大手のウェスタン・デジタル(Western Digital)社がIDEを拡張した「EIDE」(Enhanced IDE:エンハンストIDE)仕様を提唱した。IDEでは2台までだった最大接続機器数が、2つの接続系統(プライマリIDE、セカンダリIDE)に各2台ずつの合計4台までに拡張された。CD-ROMドライブなどハードディスク以外の機器も接続できるようになった。

データ転送速度も高速化され、LBALogical Block Addressing)方式の導入によりハードディスクの最大容量がIDEの528MBから8.4GBまでに緩和された。IDE仕様は初期のATA(ATA-1)規格として、EIDE仕様はATA-2規格として、ハードディスク以外を接続する拡張仕様はATAPI規格としてそれぞれ標準化された。

(2024.6.14更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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