RAID 【Redundant Arrays of Inexpensive Disks】
概要
RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)とは、複数のストレージ装置を専用のシステムで管理し、あたかも一台の装置であるかのように統合的に運用する仕組み。データの記録や読み出しは専用のシステムによって自動的に行われ、ソフトウェアや利用者からは一台のストレージ装置のように扱うことができる。データを複数台に分散して記録することにより、高速化や耐障害性の向上が図られる。コントローラカードなど専用のハードウェアで管理する「ハードウェアRAID」が一般的だが、コンピュータ上で実行されるソフトウェアで実現する「ソフトウェアRAID」もある。
種類
データの記録方法により「RAID 0」から「RAID 6」まで7種類が定義されている。それぞれ高速性や耐障害性が異なり、末尾の数字が大きいほど新しいとか優れているというわけではない。一般によく用いられるのは「RAID 0」「RAID 1」「RAID 5」およびこれらの組み合わせで、RAID 2~4はあまり用いられない。
「RAID 0」は「ストライピング」とも呼ばれ、データを均等に振り分けて分散記録する方式である。アクセス速度は向上するが、いずれか一台が壊れるとデータの読み出しができなくなるため、耐障害性は一台の場合よりも低下する。現在では単独で用いることはあまりない。
「RAID 1」は「ミラーリング」とも呼ばれ、データを複数台に同時に記録する方式である。いずれか一台が壊れても複製が残るためデータが失われることはなく、耐障害性が向上するが、複製を増やせばその分だけ記憶容量の利用効率は低下する。
「RAID 5」は「分散パリティ」とも呼ばれ、データから「パリティ」という誤り訂正符号を生成してデータと共に分散記録する方式である。パリティは一台分の容量で済むため、台数を増やせば単純に複製を取るより記憶容量の利用効率を向上させることができる。
信頼性を高めるRAID 1やRAID 5と、アクセス速度を高めるRAID 0を組み合わせる手法もある。RAID 0とRAID 1の組み合わせには、どちらを先に行うかによって「RAID 01」(RAID 0+1)と「RAID 10」(RAID 1+0)があり、RAID 5とRAID 0の組み合わせには「RAID 50」(RAID 5+0)がある。
歴史
RAIDの概念は1987年にカリフォルニア大学バークリー校(UCB)のデービッド・パターソン(David A.Patterson)氏、ガース・ギブソン(Garth Gibson)氏、ランディ・カッツ(Randy Katz)氏の3人によって提唱された。1990年代に企業向けのストレージシステムなどに導入され、2000年代以降は個人向けの小型のシステムでもRAID構成が可能な機種が登場している。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 神奈川県立総合教育センター「学校情報セキュリティガイド」(PDFファイル)にて引用 (2004年3月)