SAS 【Serial Attached SCSI】 シリアルSCSI
概要
SAS(Serial Attached SCSI)とは、コンピュータにストレージ装置を接続するためのインターフェース規格の一つ。従来のSCSI方式の後継技術の一つで、主にサーバ向けのコンピュータ製品で利用される。コンピュータ本体にハードディスクやSSDなどを接続するためのコネクタやケーブル、電気信号、通信制御などの方式を定めた規格で、旧来のSCSI方式(現在では「パラレルSCSI」とも呼ばれる)からコマンド体系など一部の仕様が引き継がれている。
SCSIは多数の信号線を束ねるパラレル伝送方式だったが、SASでは単一の信号線で高速に信号を伝送するシリアル伝送方式に切り替えられ、これが名称の由来ともなっている。また、複数の装置をデイジーチェーン(数珠繋ぎ)接続しバス型(共有型)の伝送路を用いるのもやめ、各機器をコンピュータと一対一に繋ぐポイントツーポイント型となっている。
仕様上は一台のコントローラに最大65,535台までの機器を接続できる。各機器は製造時に全世界で一意の識別子「WWN」(World Wide Name)が割り当てられ、他の機器との識別に用いられる。デュアルポート接続に対応しており、一台の装置を二本のケーブルでコンピュータに繋ぎ、片方が故障しても、もう片方で通信を続行することができる。
SATAとの互換性・比較
同じシリアル方式のストレージ接続規格として「SATA」(シリアルATA)があるが、SASはコネクタやケーブル、制御装置がSATAの上位互換となっており、SASコントローラにSATA接続のストレージを繋いで利用することができる(逆にSATAコントローラにSASドライブを繋ぐことはできない)。
同世代の製品で比較するとSASはSATAの約2倍の伝送速度に対応し、全二重通信が可能であるなど性能や信頼性が高いが、対応機器の価格は高い。SATAは一般的なパソコン製品に、SASは主にサーバなど業務用製品にそれぞれ用いられる。
高速化の歴史
2003年の最初の規格(SAS-1)では信号伝送速度が3Gbps(ギガビット毎秒)で、伝送するデータ8ビットあたりに2ビットの誤り訂正符号を付加する8B/10Bエンコーディングのため、実効転送速度は300MB/s(メガバイト毎秒)となっている。
2009年の「SAS-2」では6Gbps(実効600MB/s)に、2013年の「SAS-3」では12Gbps(実効1.2GB/s)にそれぞれ高速化された。2017年の「SAS-4」は22.5Gbpsだが、128B/150Bエンコーディングを採用し、実効2.4GB/sを維持している。