PCカード 【PC Card】 PC Card Standard

概要

PCカード(PC Card)とは、パソコンの機能を拡張する小型のカード型の装置(拡張カード)と、本体との接続仕様(インターフェース)の標準規格の一つ。また、同規格に基いて製造されたカード。主にノートパソコンで用いられた。米業界団体PCMCIAと日本のJEIDA(現JEITA)が共同で規格を策定した。

機能に応じたICチップなどを内蔵した長さ85.6mm×幅54mmのカードで、短辺の一方にコンピュータ本体と接続する68ピンの接続端子(コネクタ)が設けられている。カードの厚さによって3つの仕様が規定されており、Type Iが厚さ3.3mm、Type IIが5mm、Type IIIが10.5mmとなっている。最も普及したのはType IIカードで、上下2段のType IIカードスロットに1枚のType IIIカードを装着できる製品などもある。

当初策定されたのは、パソコン拡張バスとして当時普及していたバス幅16ビットISAバスを基にした規格で、後に32ビット幅のPCIバスを基にした高速な規格「CardBus」(カードバス)が策定された。パソコン本体に内蔵されていない接続規格に対応させるためのインターフェースカードとして用いられることが多かった。

PCカードとして提供された製品には、(アナログ)モデムカードやISDNカード、LANカードEthernetカード)、無線LANカードWi-Fiカード)、モバイルデータ通信カード、USBカード、SCSIカードIEEE 1394カード、メモリカードリーダなどがある。他にも、フラッシュメモリや超小型ハードディスクを内蔵したストレージカードや、サウンドカードビデオカード、テレビチューナーカードなど、様々な機能のカードが製造された。

後継規格としてPCI Expressを基にした「ExpressCard」(エクスプレスカード)が策定され、また、USBなど他の接続仕様で拡張機器を提供するのが一般的になったこともあり、現在ではPCカード規格の拡張カードやPCカードスロットを搭載したノートパソコンはほとんど製造されていない。

PCカードスロット

ノートパソコンの筐体側面などにある、PCカードの差込口をPCカードスロット(PC card slot)という。スロット幅によって対応しているPCカードのタイプが判別できる。Type II対応のスロットはType IのPCカードも扱える場合が多い。

Type IIIカードは他のタイプのカードの約2倍の厚さがあるため、Type III対応スロットは、縦に二段に分けることでType IやIIのPCカードを二枚扱える。Type III(もしくはType I/IIを2枚)対応のスロットが一般的だが、小型のモバイルPCではType II対応のスロットが一つだけ、ということもある。

PCカード Type I

3種類あるPCカード規格のうちカード厚が最も薄い仕様。長さ85.6mm、幅54.0mm、厚さ3.3mmの大きさで、フラッシュメモリ、モデムカード、LANカードSCSIインターフェイスSRAMカードなどの製品がType I形状で提供された。

後発の「Type II」のほうが主流で、ノートパソコン側もPCカードスロットを装備する場合でもそのほとんどがType IIに対応したPCカードスロットを用意したため、Type Iの製品はほとんどなかった。

PCカード Type II

PCカード規格の中でカード厚が中くらいの仕様。長さ85.6mm、幅54.0mm、厚さ5.0mmの大きさで、ノートパソコン向けの仕様として最も普及した規格である。フラッシュメモリ、モデムカード、LANカードSCSIインターフェイスサウンドカードダウンスキャンコンバータなどといったノートパソコン向けの様々な拡張用インターフェイスとして用いられた。

PCカード Type III

PCカード規格の中でカード厚が最も厚い仕様。長さ85.6mm、幅54.0mm、厚さ10.5mmの大きさで、厚さはType IIのおよそ倍である。主にハードディスクドライブとして利用されたが、後に技術の進歩によりType II形状の薄型ハードディスク開発された。

通常、PCカードスロットが複数存在する場合はPCカードが積み重なる方向にカードスロットが並べられ、Type IIIのカードを1枚か、Type IあるいはType IIのカードを2枚挿入できるような構造になっている場合が多かった。

(2023.1.11更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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