MIME【Multipurpose Internet Mail Extensions】
概要
初期の電子メール規格では7ビットのオリジナルのASCII文字コード(US-ASCII)の範囲内の文字しか本文に記載することができなかった。これは日本ではいわゆる「半角英数字」と呼ばれる文字種で、飾りなしラテンアルファベット、アラビア数字、一部の記号、空白文字に限られる。
これでは不便なため、様々なデータをメールに記述できるMIME仕様が策定された。様々な種類のデータを一定の変換規則(エンコーディング)に従ってASCII文字の組み合わせに変換(エンコード)してメール本文に記載し、受信側では逆変換(デコード)を行って元のデータを取り出す。変換規則には「Base64」「quoted-printable」「uuencode」などいくつかの種類があり、メッセージごとに指定する。
対応形式
MIMEを用いることで、欧州の発音記号付きのアルファベットや、ラテン文字以外のギリシャ文字やキリル文字のアルファベット、日本語や中国語、韓国語、アラビア語など独自の文字体系を用いる言語の文字などを本文中に記述することができる。
また、画像や音声、動画、コンピュータプログラムの実行ファイル、HTML文書(Webページ)、オフィスソフトの文書ファイルなど、バイナリデータを含む様々な形式のデータを添付ファイルなどの形でメール本文に取り込むことができる。HTML形式のメールも内部的にはMIMEの仕組みを用いて記述されている。
MIMEタイプ
MIMEでは、メールヘッダ中で内容のデータ型を指定するための標準形式である「MIMEタイプ」(メディアタイプ)を定めている。「Content-Type: 」ヘッダの中で「タイプ名/サブタイプ名」の形式でデータ形式を指定する。複数のデータが混在するメッセージでは本文中でも指定が行われる。
例えば、プレーンテキストは「text/plain」、HTML文書は「text/html」、JPEG画像は「image/jpeg」、任意のバイナリ形式は「application/octet-stream」などと定められている。この仕組みはWebコンテンツの伝送を行うHTTPなどにも流用され、伝送内容のメディアの種類やデータ形式を指定する標準として広く用いられている。
MIMEマルチパート
一通のメールに複数の異なるデータを混在させることができる「MIMEマルチパート」(MIME multipart)と呼ばれる拡張仕様も定められた。メール本文を任意の数の領域に分割し、それぞれについてデータ型や変換方式を指定して任意の形式のデータを記載することができる。本文と共にファイルを送付する添付ファイルの仕組みはこの仕様を用いて実現している。
S/MIME
メッセージ本体を公開鍵暗号で暗号化したり、デジタル署名を付与する拡張仕様「S/MIME」(Secure MIME)も定められている。送信者はデジタル証明書を取得してS/MIMEでメッセージを作成することにより、内容を暗号化して伝送途上で盗聴されないようにしたり、デジタル署名を添付して受信側で送信者の証明や改竄・すり替えされていないことを確認できるようにすることができる。
歴史
MIMEの最初の標準仕様は1992年にインターネットの標準規格を定めるIETF(Internet Engineering Task Force)によりRFC 1341として勧告された。1996年にRFC 2045~RFC 2047によって更新された。RFC 2633(S/MIME)や、RFC 4288(MIMEタイプ)など多くの関連仕様が勧告されている。
「MIME」の関連用語
「MIME」の関連リンク (外部サイト)
他の用語辞典による「MIME」の解説 (外部サイト)
- ウィキペディア「MIME」
- 日経 xTECH Networkキーワード「MIME」
- MDN Web Docs 用語集「mime」
- Insider's Computer Dictionary「MIME」
- JIPDEC 情報ライブラリー 用語集「MIME」
- NTT西日本 ICT用語集「MIME」
- ITパスポート用語辞典「MIME」
- JavaA2Z「MIME」
- WhatIs.com (英語)「MIME」
- Techopedia (英語)「Multipurpose Internet Mail Extensions」
