MIME 【Multipurpose Internet Mail Extensions】
概要
MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)とは、TCP/IPネットワーク上でやり取りする電子メールで、当初の規格で唯一記載することができたASCII英数字以外のデータ(各国語の文字、添付ファイルなど)を取り扱うことができるようにする拡張仕様。初期のメール規格では7ビットのオリジナルのASCII文字コード(US-ASCII)の範囲内の文字(飾りなしラテンアルファベット、数字、一部の記号、空白文字)しか本文に記載することができなかった。MIMEにより、欧州各国のアルファベットや非アルファベット文字で本文を記述することができる。よく用いられるのは非ASCII文字を記号を用いた特殊な記法でASCII文字の組み合わせとして表現する手法で、quoted-printableやBase64のいずれかの変換方式を指定できる。
また、画像や音声、動画、コンピュータプログラムの実行ファイル、HTML文書、オフィスソフトの文書ファイルなど、テキスト(文字)以外のバイナリデータを含む様々な形式のデータを、非ASCII文字と同様にBase64などでASCII文字の集合に変換してメールに含めることができる。
複数の異なるデータを含むメールを取り扱うためにMIMEマルチパート(MIME multipart)と呼ばれる拡張仕様も定められた。メール本文を任意の数の領域に分割し、それぞれについてデータ型や変換方式を指定して任意の形式のデータを記載することができる。本文と共にファイルを送付する添付ファイルの仕組みはこの仕様を用いて実現している。
MIMEではメールヘッダ中で内容のデータ型を指定するための標準形式であるMIMEタイプ(メディアタイプ)を定めており、“Content-Type:” ヘッダの中で「type/subtype」の形式でデータ形式を指定する。例えば、プレーンテキストは「text/plain」、HTML文書は「text/html」、JPEG画像は「image/jpeg」などと定められている。この仕組みはHTTPなどにも流用され、伝送内容のメディアの種類やデータ形式を指定する標準として広く用いられている。
MIMEの最初の標準仕様は1992年にIETFによりRFC 1341として勧告され、1996年のRFC 2045~2047によって置き換えられた。RFC 2633(S/MIME)やRFC 4288~4289など数多くの関連仕様が勧告されている。