読み方 : パイロットいこうほうしき
パイロット移行方式
パイロット移行方式とは?
既存のシステムを新しいシステムへ切り替える際、最初から全組織・全業務に一斉導入するのではなく、一部の部門や拠点に限定して先行導入し、その結果を検証してから段階的に展開していく移行手法。

まず特定の部門や拠点、利用者集団をパイロット(先行導入)対象として選定し、本番環境での実運用を開始する。この段階で、設計時には想定しきれなかった業務上の問題や操作上の課題、システムの不具合などを洗い出すことができる。残りの組織への展開は、パイロット期間中に得られた知見をもとに修正や改善を加えた上で実施される。
この方式のメリットは、問題発生時の影響範囲を限定できる点にある。仮に移行後に重大な不具合が判明しても、被害を受けるのはパイロット対象の一部に留まるため、損害を抑えられる。また、現場からのフィードバックを反映してシステムや運用手順を改善できるため、全体展開の成功率を高める効果もある。
一方、パイロット対象とそれ以外の組織で異なるシステムが併存、混在する期間が生じるため、データの連携や業務の整合性を保つための追加的な管理コストが発生する。また、パイロット期間を経てから全体への展開が行われるため、一斉移行方式と比べて移行にかかる期間全体は長くなる傾向がある。
パイロット対象の選定には慎重さが求められる。業務の複雑さや規模、他部門との依存関係などを考慮しながら、「典型的な運用環境を再現できる対象」を選ぶことが、検証の精度を左右する。先行導入の成否が、その後の全体展開の方針にも大きく影響する。
新システムの本番移行にあたっては、パイロット移行方式以外にもいくつかの方式が存在する。一斉に全体を切り替える「一斉移行方式」、旧システムと新システムを一定期間並行稼働させる「並行移行方式」、機能や業務単位で順次切り替える「段階的移行方式」などである。パイロット移行方式は業務停止や障害の影響を最小限に抑えたい場合に採用されることが多い。