エピック【epic】
概要
エピックとは、アジャイルソフトウェア開発において、実装すべき機能や要件を表す最も大きな単位。開発プロジェクトが目指す目標や、ソフトウェアが実現すべき機能を大まかな括りとして示したものであり、具体的な仕様や手順までは含まれない。

例えば、ECサイトであれば「商品を購入できるようにする」、業務システムであれば「顧客情報を管理できるようにする」といった規模の内容がエピックに相当する。エピックは具体的な作業に取り組む単位としては大きすぎるため、利用者の視点からソフトウェアで何ができるかを記述した「ユーザーストーリー」(user story)へと分割される。
分割されたストーリーは「プロダクトバックログ」(product backlog)と呼ばれる一覧に登録され、優先順位に応じて一つずつ開発対象として取り上げられ、実装が進められる。エピックは複数のストーリーを束ねる親要素として位置付けられ、開発の進行と共に内容が検証され、より具体的なストーリーへと段階的に分解(ブレイクダウン)されていく。
エピックとストーリーの間には、規模に応じて「フィーチャー」(feature)と呼ばれる中間的な単位が設けられる場合もある。大規模な開発では、エピックが最上位の戦略目標や大まかな機能領域、フィーチャーが利用者から見た特定の機能のまとまり、ストーリーが個々の開発タスクに対応する三階層の構造を取ることがある。逆に、小規模な開発ではエピックを定義せず、最初からフィーチャーやストーリーのレベルで機能を列挙していくこともある。
エピックは「スクラム」(Scrum)をはじめとするアジャイル開発手法やプロジェクト管理ツールで広く採用されている。多数のストーリーを事業目標や業務領域ごとに整理するための単位として用いられ、関係者間で開発対象の全体像や方向性についての共通認識を形成する。最初から詳細な仕様を決定するのではなく、大まかな方向性から段階的に詳細化していく考え方を反映した概念である。
(2026.6.11更新)