ユーザーストーリー【user story】
概要

ユーザーストーリーでは、利用者が何をしたいか、どうなることを望むかを、専門用語を使わず本人が普段使っている語彙や表現で記述する。システムの内部構造や具体的な実現方法には触れず、利用者の意図と目的のみを表現する。
記述には「私は〈役割〉として、〈目的〉のために、〈行動〉をしたい」という定型文がよく用いられる。役割・目的・行動の三要素を明示することで、開発者と利用者の間で要求の意図を共有しやすくなる。一つのストーリーには一つの希望を記述するのが基本で、多数のストーリーを集めたものが製品に求める要求の全体像となる。
抽象度が高く漠然とした大きな目標を表すストーリーは「エピック」(epic)と呼ばれる。エピックはそのままでは開発作業に落とし込みにくいため、より具体的で実装可能な複数のストーリーへと分割される。適切な粒度のストーリーが揃った段階で、それぞれをどう技術的に実現するかを「タスク」(task)として定義し、開発作業へと移行する。
スクラムでは、ユーザーストーリーは製品への要求を列挙した「プロダクトバックログ」(product backlog)を構成する基本要素として扱われる。開発チームは各ストーリーの優先順位や必要工数を検討し、実装対象を選定する。また、ストーリーごとに受け入れ条件(acceptance criteria)を定義し、要求が満たされたかどうかを判定できるようにすることも多い。従来の要件定義書が機能や仕様の記述を中心とするのに対し、ユーザーストーリーは利用者が達成したい目的と価値を表現するものであり、アジャイル開発の普及とともに様々な開発現場で用いられている。
(2026.6.14更新)