スパイラルモデル【spiral model】スパイラル型開発/スパイラルアプローチ
スパイラルモデルとは?
情報システムやソフトウェアの開発工程モデルの一つで、設計、実装、試験、評価といった一連のプロセスを何度も繰り返し、段階的に完成度を高めていく方式。仕様変更への対応が柔軟で、要求が曖昧な大規模システムの開発などに向いている。

従来のウォーターフォールモデルでは、要件定義、設計、実装、試験といった各工程を原則として一度だけ行い、前工程の成果物が完成していることを前提に次工程へ進む。工程の順序と役割分担が明確である反面、後工程で仕様の誤りや変更が発覚した場合、前工程への手戻りが大きなコスト増につながりやすい。
スパイラルモデルでは、まず短期間で開発プロセスを一周し、機能や品質は完全でなくとも動作するシステムの原型(プロトタイプ)を作成する。これをもとに利用者や顧客からフィードバックを得て、次の周回で機能追加、仕様変更、品質改善を行う。この周回を螺旋(スパイラル)と呼び、回を重ねる毎にシステムの完成度が高まっていく。各スパイラルにはリスク分析のフェーズが組み込まれている。
早い段階で動作する実物を確認できるため、発注側の要望との乖離を防ぎやすく、仕様変更や再設計にも柔軟に対応できる。一方で、開発全体の進捗管理や着地点の予測が難しい。スパイラルを何周行うか、どの時点を完成とみなすかについて関係者間で合意が取れていない場合、工期・予算の見通しが立てにくくなる。そのため、各周回ごとに目標と評価基準を明確にすることが求められる。
1988年にバリー・ベーム(Barry Boehm)氏が提唱したモデルで、技術的な不確実性や要求の変動が大きい開発に適しており、後の反復型開発手法にも影響を与えた。後の時代に考案された「アジャイル開発」の各手法はスパイラルモデルと反復・漸進型の開発という概念を共有しているが、アジャイルが短いイテレーションとチームの自律性を重視するのに対し、スパイラルモデルはリスク管理と段階的な文書化を重視する点で異なる。
(2026.6.16更新)
関連用語
他の辞典等による「スパイラルモデル」の解説 (外部サイト)
- ウィキペディア「スパイラルモデル」
- 大塚商会 IT用語辞典「スパイラルアプローチ」
- 日経 xTECH IT基本用語辞典「スパイラルアプローチ」
- ソシオメディア 用語「スパイラルモデル」
- ITパスポート用語辞典「スパイラルモデル」