人月 【person-month】 man-month

概要

人月(person-month)とは、作業量(工数)を表す単位の一つで、1人が1か月働いた作業量を1としたもの。業務や事業の工数を測ったり見積もったりする際によく用いられる。業務の受発注金額を1人月あたりの価格で表したものを人月単価という。

「人数×月数」の意味で、ある作業に従事する人員の数と、月で表した1人あたりのプロジェクト従事期間の積を表す。1人で1か月かかる仕事の量が「1人月」で、10人で6か月かかれば60人月(10×6)、100人で半月かかれば50人月(100×0.5)となる。

1人の1か月の作業量はフルタイム勤務の従業員を想定して1日8時間×20日間(計160時間)とすることが多いが、より少ない時間数が用いられたり、正確な営業日数を元に算出する場合もある。関係者間で認識に齟齬が生じないよう、こうした算出基準は注記しておいた方がよい。

人月で作業量を表すには、従事する人員の能力(当該作業を進める速さ)がほぼ等しく、同時に投入する人数に正比例して仕事が速く進む(作業間に依存関係がない)ことが前提となる。単純作業や定型的な業務には適用しやすいが、能力の個人差が激しい場合や、作業の分担や並列化が難しい場合には適用しにくい。

ITシステムの開発プロジェクトでは開発業務の規模の見積もりに人月を利用することが多いが、開発工程は複雑で依存関係が多く、プログラミングなどの業務は個人の力量によって開発効率が大きく異なる場合があるため、能力の高低に関わらず同じ期間には同じ単価を想定する人月単価による価格の決定には異論も多い。

人月と同じ考え方で、1人が1週間でこなす作業量の単位を「人週にんしゅう」(person-week)、1人が1日でこなす作業量の単位を「人日にんにち」(person-day)、1人が1時間でこなす作業量の単位を「人時にんじ」(person-hour)という。一般的な基準を用いれば1人月=20人日=160人時となる。

(2019.1.10更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

試験出題履歴

ITパスポート試験 : 令4 問50
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。