デスマーチ 【death march】 デスマ
納期間近なのに完成の見通しが立っていなかったり、必要な資源が投入されず適切な管理や統制が行われていないプロジェクトで現場が疲弊・混乱する現象で、開発チームのメンバーが劣悪な環境での作業を強いられたり、連日の徹夜や休日出勤など過重な労働が課される。
抜本的な立て直しを行わず進行し続ければ、人心の荒廃や心身の疲弊から能率が下がり、進捗が遅れることで負荷が増大、さらに現場の疲弊が進むという悪循環にはまり込む。最終的にはプロジェクトの失敗、破綻となり、メンバーに傷病者や死者が出る最悪の事態を招く場合もある。
“death march” という表現はもともと、戦争などで敵軍の捕虜や占領地の住民を強制的に徒歩で長距離移動させる苦役を指し、特に、十分な休息や水、食料を与えずあえて疲弊させ、途上で死者や負傷者が出ても放置する虐待・虐殺行為のことを意味する。
計画の破綻が明らかなのに上位者の体面や当初の甘い見通しに固執し、末端に過重な負担を押し付けることで乗り切ろうとする管理者の無責任な姿勢をこのような戦争犯罪になぞらえた表現である。
IT業界での用法は1997年に出版されたエドワード・ヨードン(Edward N. Yourdon)氏の著作「Death March: The Complete Software Developer’s Guide to Surviving "Mission Impossible" Projects」(邦題:デスマーチ - なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか)で取り上げられたことをきっかけに広まったとされる。
氏はシステム開発プロジェクトにおけるデスマーチを、公正に予測すれば半分以上の確率で失敗するプロジェクト、あるいは、資源(人員や予算、期間など)が適正な必要量の半分以下しか投じられていないプロジェクトと定義している。