プロトタイピング 【prototyping】 プロトタイプモデル / prototype model / プロトタイプ開発
概要
プロトタイピング(prototyping)とは、工業製品の開発手法の一つで、設計の早い段階から実際に稼働する試作モデルを作成し、その検証とモデルの再制作を何度も反復する手法。ITの分野ではソフトウェアやシステムの開発でこのような手法を用いることを意味する。ITシステムやソフトウェアでは、利用者がどのような機能をどのように使いたいのか自身も明確には理解していない場合があり、最初に完全に仕様を確定してから開発に入ることが困難だったり、開発工程に入った後や完成後の修正、やり直しが頻発する場合がある。
プロトタイピングでは、要求を分析する初期の段階で、最低限の機能や操作画面を実装した原型(プロトタイプ)を用意して、業務に適用することを想像しながら操作してもらい、利用者の具体的な要求を引き出していく。プロトタイプの作成と検証を繰り返すことにより、次第にシステムに必要とされる機能・仕様が具体化・明確化していく。
利用者が早期から実際のシステムの利用状態を想像することができるため、開発者と利用者の間に生じる製品の完成形についての理解の齟齬を小さくすることができる。製品の種類や規模によっては開発期間の短縮やコスト低減の効果も見られる。
一方、初期のプロトタイプの機能や見た目、操作法などを漸進的に改善していく形となるため、根本的に異なる形態の方が適していたとしてもそのことに気付かないまま開発が進んでしまうことがある。また、大規模で複雑な製品だとプロトタイプの制作や修正に大きな負担がかかるため適用しにくいと言われる。
(2019.7.7更新)