デイリースクラム【daily scrum】
概要

スクラムでは、開発対象を一度に作り上げるのではなく、小さな単位で計画と実装を繰り返しながら徐々に完成度を高めていく。この反復単位は「スプリント」(sprint)と呼ばれ、1週間から1か月程度で設定されることが多い。
デイリースクラムは、このスプリントの中で毎日同じ時刻、同じ場所で開催され、チームメンバー全員が参加する。スプリント開始時に定めた「スプリントゴール」に向けた各自の作業状況を共有し、必要に応じて当日の計画を見直す機会となる。
ミーティングでは、前日に行った作業や当日に予定している作業、進行の妨げとなっている課題などが報告される。かつてはこの三点を順番に共有する進め方が一般的だったが、近年では形式的な報告そのものよりも、チームが進捗を確認しながら計画を調整することが重視されており、具体的な進め方はチームによって異なる場合がある。時間内に解決できない複雑な課題は、その場で議論を続けず、必要な関係者を集めた別の打ち合わせで対応する。
開催のタイミングは、始業時に朝礼のような形で行われることが多いが、必ずしも朝一番である必要はなく、全員が集まりやすい時間帯であれば良い。重要なのは、時刻と場所を固定し、短時間で終えるという運用を一貫して守ることである。企業の朝礼と似た形態を取るが、管理職への報告や業務命令の伝達ではなく、開発者同士が協力してその日の計画を再調整する相互コミュニケーションの場として位置付けられる。
デイリースクラムを継続的に実施することで、情報共有の頻度を高めながら開発状況の透明性を維持できる。スプリント期間中に発生する小さな課題は、日々のコミュニケーションの中で早期に共有されることで、作業の重複や認識のずれを防ぎ、スプリント全体の進行が大きく滞ることを防ぎやすくなる。短い開発サイクルの中で計画と実行を繰り返すスクラムの運用を支える、検査と適応の機会の一つである。