Web3 【Web 3.0】
概要
Web3(Web 3.0)とは、ブロックチェーン技術などを用いて非中央集権的な構造で実装された、インターネット上のサービスやシステムのこと。「次世代のWeb」として構想され、特定企業が保有・運用するプラットフォームなどを介さず個人や法人などの利用主体が直に情報や財貨、サービスなどをやり取りする社会を実現するとされる。1990年代末に現れた初期のWebは、情報の提供主体が閲覧者に静的コンテンツを一方向的に提供する利用法が主だったが、2005年頃になるとWebブラウザ上で動的な技術を駆使してアプリケーションソフトのような操作感のサービスを構築できるようになり、SNSのように利用者が双方向にやり取りするサービスが発達した。
このような新世代のWebを当時「Web 2.0」と呼び、それ以前の素朴な情報提供の時代を振り返って「Web 1.0」と区分するようになった。その後数年のうちに動的なWebサービスは当たり前の存在となり、反比例して「Web 2.0」という語自体は使われなくなっていったが、Web 2.0的な技術やビジネスの発展は続き、寡占的なプラットフォーム事業者が台頭した。
「GAFA」(Google Apple Facebook Amazon)と総称される巨大IT企業群に代表されるプラットフォーム事業者は国境を超えて世界的に高い市場シェアを獲得して支配的に振る舞い、利用者の情報、利用権限を一手に握り強い力を持った。今や個人や企業だけでなく国家でさえもインターネット利用に際してその都合や意向を無視することはできなくなりつつある。
Web3はこうした巨大な富と権力が集中する中央集権的な管理システムを排し、個人が自らの情報を手元でコントロールしたまま他の主体と繋がりを持って様々な活動ができるようにする自律分散型の技術の総称である。中核となるのは利用者の端末に履歴情報を分散記録する「ブロックチェーン」で、仮想通貨(暗号通貨)やNFT(非代替性トークン)、DAO(自律分散型組織)、DeFi(分散型金融)などの応用例が注目されている。
しかし、現状ではWeb3の定義や指し示す範囲が論者によって様々であり、耳目を集めるために特に関係のないものまでWeb3と呼んでアピールする事例も見られる。企業などがマーケティングなどのために乱用する不明瞭な新語「バズワード」として消費されつつある。
また、ブロックチェーンをはじめとする技術群も、「既存のプラットフォームを代替するには拡張性(スケーラビリティ)や効率に疑問がある」「管理者抜きで秩序を維持し個人を悪意から守る仕組みが欠けている」「一部の技術は結局のところ特定のプラットフォームに依存しており自律分散型になっていない」といった問題点が指摘されており、社会インフラとして定着するまでに至るかは疑問視されている。