SAP HANA 【High-performance ANalytic Appliance】
概要
SAP HANA(High-performance ANalytic Appliance)とは、独SAP社が開発・販売しているデータベース管理システム(DBMS)製品。すべてのデータをメモリ上に置いて処理するインメモリデータベースを構築することができる。従来のDBMSはデータ本体をハードディスクやSSDなどのストレージ(外部記憶装置)に置き、記録や更新、読み出しに際し必ずストレージへアクセスする必要があった。
SAP HANAはインメモリ型であるため、データ本体はメインメモリ(RAM)に展開され、読み書き処理を従来の数百~数千倍に高速化することができる。メモリの内容はシャットダウンや再起動で消えてしまうため、一定の周期や基準に基づいてストレージ上へ複製を作成し、永続性を確保している。
リレーショナルデータベースの一種でSQLや独自のスクリプト言語などで操作できるが、列指向(カラム指向)と呼ばれる格納方式を採用しており、表(テーブル)中の同じ列のデータをひとまとめにして記録している。これにより効率的なデータ圧縮が可能なほか、特定の種類のデータを対象とした解析処理を高速化できる。オプションで従来のような行指向(ローストア型)方式も選択できる。
大規模環境を前提に、マルチコア、マルチプロセッサによる並列処理や、単一システムを複数の利用主体で分割して共有するマルチテナントに標準で対応している。リレーショナル型だけでなく、いわゆるNoSQL型の非構造化データの格納にも対応する。
同社のアプリケーションソフトなどのデータ管理基盤としても標準的に利用され、看板商品の一つであるERPパッケージ「SAP S/4HANA」はその名の通りSAP HANAを標準のデータ管理システムとして利用する。
(2020.8.17更新)