直積集合 【direct product】 積集合 / デカルト積
概要
直積集合(direct product)とは、複数の集合から一つずつ元を取り出して作った組を元とする集合。乗算記号「×」を用いてA×Bのように表記する。数学の集合論で用いられる概念で、集合Aに含まれる元 { a1, a2, a3, … } と集合Bに含まれる元 { b1, b2, b3, … } を一つずつ使って (a1,b1) といった値の組を作り、そのすべての組み合わせを元とする集合である。
この値の組は値の登場順も区別する順序対と呼ばれるもので、(1,2)と(2,1)は異なる組であるとみなされる。このため、一般にA×BとB×Aは必ずしも一致するとは限らず、演算として「項の前後を入れ替えても同じ結果」になるという交換法則は成り立たない。
直積集合の例としてよく知られるのはトランプの図柄で、4つの絵柄(スート) { ♠, ♥, ♦, ♣ } の集合と、13のランク(数字・文字) { A, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, J, Q, K } の集合のすべての元の組み合わせで52枚(4×13)の絵柄が構成されている。
直積集合は「直積」「積」「デカルト積」「積集合」などとも呼ばれるが、「積集合」は複数の集合のすべてに所属する元から成る集合(論理演算の論理積に相当)を指すこともある。直積集合との混同を避けるため、こちらは「共通集合」「共通部分」等と呼ばれることもある。
(2023.5.19更新)