Oracle Database
概要
Oracle Databaseとは、米オラクル(Oracle)社が開発・販売するリレーショナルデータベース管理システムの一つで、同社の創業以来の中核商品。大規模データベースシステム向けでは世界的に事実上の標準(デファクトスタンダード)とも言える高い市場シェアを獲得・維持している。行と列で構成される表形式のデータベースを作成・管理するためのソフトウェアで、専用の管理ツールやSQLで操作することができる。独自言語「PL/SQL」によるプログラム実行、クラスタ管理システム「Oracle RAC」(Real Applicaton Clusters)による並列分散処理、組み込みのJava実行環境、XMLデータベース対応などの特徴がある。
大規模環境での性能や堅牢性、採用実績、外部の対応ツールや互換製品の豊富さ、熟練技術者の層の厚さなどには定評があり、大企業や官公庁など大きな組織の業務システムや事業用の重要なシステムのデータベース管理に広く採用されている。
対応環境は初期には各種の商用UNIXだったが、現在の主要プラットフォームはLinuxとWindowsである。商用UNIXは市場全体が退潮傾向なこともあり撤退が進み、現在は同社が旧Sun社から引き継いだSolarisと米IBM社のAIXの対応は継続されているが、近年のバージョンでは長年対応してきた米HPE社のHP-UXへの対応が打ち切られた。
ちなみに、同社ではRDBMS製品としてSun社買収により取得した「MySQL」も展開しており、こちらはオープンソースソフトウェアとして公開している。同社による取得以前からオープンソースRDBMSとして標準的な地位にある。
バージョンの変遷
初版はラリー・エリソン氏ら同社創業メンバーが1979年に開発したもので、「Oracle version 2」として発売された(バージョン1は欠番)。バージョン7からは「Oracle 7」のようにシンプルに番号のみとなり、バージョン8からは「Oracle 8 Database」のように製品系列の多様化に伴いDBMS本体を “Database” と明示するようになった。
バージョン8の後期版とバージョン9は「Oracle 8i Database」(1999年)「Oracle 9i Database」(2001年)となっており、“i” は当時急激に普及が進み始めたインターネットの略とされる。2003年のバージョン10からは「Oracle Database 10g」のように「Oracle Database」の製品名が確立し、“g” は分散処理技術のグリッドコンピューティングを表すとされた。
2013年の「Oracle Database 12c」からはクラウドコンピューティングの “c” を冠するようになった。バージョン13から17は存在せず、2017年末に12cの後継として「Oracle Database 18c」が発表された。このバージョン以降、数字は西暦由来となり、2019年に後継として「Oracle Database 19c」が登場した。