読み方 : くうしゅうごう
空集合【empty set】
概要
空集合とは、要素(元)を一つも含まない集合。すべての集合は空集合を部分集合として持つ。数学の集合論における最も基本的な概念の一つで、∅ または { } という記号で表されることが多い。

集合論において「何も含まない」状態を一つの集合として扱うようにしたものである。例えば、集合Xを偶数全体、集合Yを奇数全体とすると、両方に属する数は一つもないため、両者の共通部分は空集合となる(X∩Y=∅)。
空集合の重要な性質として、あらゆる集合の部分集合となっている。例えば、A = { 1, 2, 3 } という集合があるとき、∅はその部分集合である。これは直感に反するように感じられるかもしれないが、論理的には「空集合のすべての要素がAに含まれる」という命題を考えると、空集合には要素が存在しないため、この命題を否定する反例が存在しない。すなわち命題は真となり、部分集合の条件を満たす。
また、空集合はただ一つしか存在しない。「要素を持たない集合が複数ある」と仮定しても、それらはすべて互いに等しい集合であると証明できる。集合の同一性は要素の一致によって定義されるため、どちらも要素を持たない以上、区別する根拠がない。
集合演算においても空集合は重要な役割を担う。任意の集合Aに対して、Aと空集合の和集合はA自身となり、Aと空集合の積集合(共通部分)は空集合となる。これは数の演算における「0」の役割と類似しており、空集合は集合論における一種の単位元・零元として機能する。
数学では中に何もない波括弧「{}」や専用の記号「∅」を用いて表す。後者の記号はノルウェー語の「Ø」(ストローク付きO)に由来するもので、コンピュータなどでこの文字が使えない環境では、似た形のギリシャ文字「Φ」(ファイ)で代用することもある。