レプリケーション 【replication】

概要

レプリケーション(replication)とは、あるコンピュータソフトウェアの管理するデータ集合の複製(レプリカ)を別のコンピュータ上に作成し、通信ネットワークを介してリアルタイムに更新を反映させて常に内容を同期すること。システム耐障害性可用性を高めることができる。

複製元のデータが追加、更新、削除などされると、リアルタイムに複製先に伝達され、同じ変更が加えられる。ネットワークコンピュータへの負荷は高いが、複数のサーバなどの間で常に同様の記憶内容が維持される。最小の構成では現用系マスター)と待機系スレーブ)の2系統の同期われるが、複数の待機系へ同時に同期して信頼性を高める場合や、現用系が複数ありそれぞれに加えられた変更を互いに通知し合って同期する構成(マルチマスター)もある。

複製元と複製先のソフトウェア環境サービス、機能は同等になるよう設定されており、複製元が障害などで停止すると複製先が即座に代用として利用できるようになる。複製元が復帰すると停止中に加えられた変更が自動的に反映される。この切り替えはデータの利用側からは分からないようにわれるよう制御されることが多い。

レプリケーション機能はデータベース管理システムDBMS)やクラスタリングソフトなどに搭載されており、DBMSの場合は管理下のデータベースが、クラスタの場合はストレージ全体(あるいは指定された重要な一部分)が複製の対象となる。

バックアップとの違い

バックアップデータの複製を取るという意味では同じだが、通常は複製されるのはデータのみで複製先のシステムが複製元の代用として機能することはできず、リアルタイムに内容を同期するという運用も一般的ではない。

ただし、ある瞬間の状態を記録したスナップショットを作成したり、過去の様々な時点における複製を作成する世代管理によって特定の時点に遡れるようにするのはレプリケーションにはない機能であり、操作ミスや改竄などでデータが破損した場合に復旧するにはバックアップが必要となる(レプリケーションではデータの破壊も伝播してしまう)。

(2018.7.27更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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