ERモデル【実体関連モデル】 ERM / Entity-Relationship Model

概要

ERモデル（実体関連モデル）とは、情報システムの扱う対象を、実体(entity)、関連(relationship)、属性(attribute)の三要素でモデル化したもの。リレーショナルデータベースのデータ設計などでよく用いられる。1975年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のピーター・チェン(Peter Chen)氏が考案した。

システムが取り扱う対象とする現実世界の要素を抽象化し、「利用者」のように名詞として表すことができるものを「実体」（エンティティ）として表す。実体は必ずしも物理的な存在とは限らず、「納品」のように行為や情報などでも構わない。

実体間の関係性を表す要素は「関連」あるいは「関係」（リレーションシップ）と呼ばれ、「所有する」など動詞として表すことができるものが該当する。関連には二つの実体の対応関係について、一対一、一対多、多対多といった多重度（カーディナリティ）を設定することができる。

実体と関連には、その特性や性質を表す「属性」（アトリビュート）を複数与えることができる。実体の属性は形容詞に、関連の属性は副詞に例えられるが、実用上は「従業員」実体の属性に「氏名」を設定するといったモデリングが行われることが多い。

ER図

ERモデルを図示したものを「ER図」（ERD：Entity-Relationship Diagram/ERダイアグラム）という。チェン氏が提唱したオリジナルの記法では、実体を矩形（長方形）、関連を菱形で表し、菱形を挟んで矩形同士を直線で結びつける。属性は楕円で示し実体や関連に線で結びつける。

ER図の記法は用途などに応じて微妙に異なる10以上の仕様が提唱されている。中でも有名なものとして、米国立標準技術研究所（NIST）が規格化したIDEF1x記法（IDEF：ICAM Definition Language）、ジェームズ・マーティン（James Martin）氏が考案したIE記法（IE：Information Engineering）がある。

現在用いられている多くの記法では、関連を菱形などで括らずに実体を結ぶ線自体で表しており、線分の脇に関連の名前を書き入れる。実体の属性も単体で図形に括って実体に紐付けるのではなく、実体の矩形の内部に列挙する形式が多い。

(2021.7.16更新)