デファクトスタンダード 【de facto standard】 事実上の標準 / デファクト標準
概要
デファクトスタンダード(de facto standard)とは、国家や国際機関、標準化団体などが策定した標準規格ではなく、市場の実勢によって実質的な標準とみなされるようになった製品やその仕様のこと。“de facto” とはラテン語で「事実上の」という意味で、公的な機関による議論や交渉、手続きなどを経て正式に制定された規格ではなく、一企業や企業連合などが私的に決定して製品に組み込んだ仕様が広く普及した結果、実質的な標準となった状態を指す。
家庭用ビデオにおけるVHS、パソコン向けオペレーティングシステム(OS)におけるWindows、コンピュータネットワークの通信手順(プロトコル)におけるTCP/IPなどがデファクトスタンダードの例として挙げられる。国際的なコミュニケーションに英語を用いることもデファクトスタンダードの一種であると言える。
一旦デファクトスタンダードが確立した業界においては、標準仕様に対応した製品や、標準製品と高い互換性を持つ製品が市場のほとんどを占めるようになる。すでにデファクトスタンダードとなった仕様を公的な標準化機関が後から標準規格として制定(追認)することもある。
一方、特定の技術分野に関係する業界や企業などが組織する企業連合や業界団体、専門家集団などが提唱する標準仕様などのことを「フォーラム標準」(forum standard)という。また、JISCやANSIなど各国政府の標準化機関や、ISO(国際標準化機構)やIEC(国際電気標準会議)、ITU(国際電気通信連合)といった国際標準化機関が定める制度的な標準規格を「デジュールスタンダード」(de jure standard/デジュリスタンダードとも)という。
(2022.7.21更新)
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
試験出題履歴
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 資源エネルギー庁委託調査 三菱総合研究所「平成22年度電力系統関連設備形成等調査 報告書
」(PDFファイル)にて引用 (2011年3月)