ミッションクリティカル 【mission critical】
概要
ミッションクリティカル(mission critical)とは、組織や事業の構成要素の必要性の度合いを表す用語の一つで、それが欠けると業務の遂行に致命的な悪影響が出るほど重要であること。企業などの組織には事業の遂行に必要不可欠な仕組みや工程、システムなどがあり、これが停止すると事業や組織の存続に関わるほどの重大な危機を招く。ある構成要素の持つ、そのような全体にとって欠くべからざる重要性のことをミッションクリティカルという。
ITの分野ではそのような情報システムのことをミッションクリティカルシステムと呼び、24時間365日、何があっても絶対に停止や誤作動があってはならないシステムという意味合いで用いられる。一般的には大企業の基幹システムなどをこのように呼び、機器や部品の冗長化や並列化、保守時や障害発生時の無停止対応、遠隔地へのデータバックアップや代替設備の整備などの措置が取られる。
文脈による意味の違い
広義には、どのような組織や事業であっても、自らにとってその欠落が致命的損害となりうる要素のことをミッションクリティカルという。例えば、個人事業主が業務に必要なすべてのデータを保存したパソコンといったスケールの小さな対象であっても、当人にとってはミッションクリティカルであるということができる。
一方、狭義には、業務の停止によって社会や組織外の広範囲に渡って混乱や損害を生じさせるような社会インフラなどにとって不可欠であることをミッションクリティカルという。銀行にとっての勘定系システム、鉄道会社にとっての運行管理システム、電力会社にとっての送電システムなどである。
その場合、ミッションクリティカルよりも影響の深刻度が高い、人命や安全を脅かす危機に直結する重要度のことを「セーフティクリティカル」(safety critical)あるいは「ライフクリティカル」(life critical)と呼ぶことがある。警察・消防の緊急通報システムや航空機の飛行制御システム、原子力発電所の制御システムなどが該当する。
逆に、人命の危険や社会インフラの停止ような深刻な社会的損失には繋がらないが、当該組織やその事業・業務にとっては致命的に重要であることを指して「ビジネスクリティカル」(business critical)といった表現が用いられることがある。