グリッドコンピューティング 【grid computing】

概要

グリッドコンピューティング(grid computing)とは、ネットワークを介して多数のコンピュータを連携させ、全体として高性能な並列システムとして利用する方式。特に、インターネットなどを通じて広域的に、あるいは様々な機種のコンピュータを束ねて処理を分散する方式のこと。

グリッドに参加するコンピュータは専用のクライアントソフトを稼働させ、グリッドを制御する中央システムサーバ通信する。中央システムでは膨大な演算を要する巨大な問題を小さなタスクに分割し、各クライアントに配信する。多数のコンピュータが少しずつ処理を分担することにより、グリッド全体としては大規模な並列コンピュータのように振る舞う。

スーパーコンピュータクラスタシステムなど集中設置型の並列システムと比べ、すでに使われているコンピュータの空いた計算時間を提供してもらうことで計算資源を確保できるため、一組織では実現の難しい超大規模な並列システム構築できるが、提供者の事情や利用状況により資源量が不安定に変動する場合もある。

また、サーバクライアント間、およびクライアント同士は低速な回線で低頻度にしか通信できない疎結合システムであり、緊密な連携はできないため、処理間に複雑な依存関係がある場合や頻繁に大量のデータを送受信するような課題には向かない。

処理やデータの間に関連性が薄く、多数の対象に同じ処理を繰り返し適用するような分野が適しており、暗号解読や、タンパク質や化合物の構造解析、宇宙観測のデータ処理などで実用化されている。インターネットを通じて広く一般にボランティアとして参加を募る学術研究プロジェクトなどもわれている。

(2019.1.15更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事を参照している文書など (外部サイト)

  • 文部科学省「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)- 附属資料2 用語解説外部リンク」にて参考資料に推薦 (2006年3月)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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