リッピング 【ripping】 取り込み / リッパー / ripper
音声や動画の再生のために機器がデータを読み取ることではなく、データを別の記憶装置にそっくりそのまま写し取る行為を指す。典型的な手法としてはパソコンの光学ドライブにディスクをセットし、専用のソフトウェアを用いてハードディスクやSSDなどのストレージにファイルとして保存する。
アナログ機器でのダビングと異なり、デジタルデータは複製や伝送によって内容が劣化・変質しないため、実質的にディスクに記録されたコンテンツと同等のものを別のストレージ上に完全な状態で写し取ることができる。
リッピングを行うソフトウェアを「リッパー」(ripper)あるいは「リッピングソフト」「リッピングツール」などという。音楽CDのリッピング機能はパソコン向けのメディアプレーヤー(再生ソフト)の多くで提供されており、よく利用される。
法的な問題と対策
日本では破損・紛失に備えたバックアップやディスクの所有者が個人で視聴するための複製は著作権法上は問題ないが、リッピングしたデータを空のディスクに書き込んで第三者に配布・販売したり、インターネットを通じて提供するといった海賊行為が横行し、日本を含め世界的に問題となった。
2000年代初頭には「コピーコントロールCD」(CCCD)のようにコンピュータによる複製そのものを阻害するコピーガード技術が用いられ、著作権法にも技術的保護手段を回避することは私的複製であっても違法とする改正が行われたが、正当な再生機器での再生にまで一部不具合が生じるなどの問題もあり、広く普及するには至らなかった。
DVDやBlu-ray Discでは規格にデータを暗号化して記録する仕様が盛り込まれ、単にディスクからデータをコピーしただけでは再生できないようにするという対策が取られた。2012年には著作権法の規定が改められ、こうした暗号化の解除が違法となった。
現在では、あえて暗号化せずに提供されているものを除き、DVDやBlu-ray Discの動画データの暗号化解除は違法(罰則なし)となっている。また、暗号化を解除するリッピングツールの第三者への提供は罰則付きで禁じられており、摘発事例も見られる。