MP3 【MPEG Audio Layer-3】 .mp3ファイル
概要
MP3(MPEG Audio Layer-3)とは、音声データを圧縮する方式およびファイル形式の一つで、動画圧縮方式のMPEG-1で音声を記録するために策定されたもの。標準のファイル拡張子は「.mp3」。最も普及している音声圧縮形式の一つである。元のデータを一定の規則に従って改変し、人間の聴覚が感じ取りにくい部分のデータを間引くことによって高い圧縮率を得ており、元のデータが完全には保存されない非可逆圧縮(不可逆圧縮)形式である。ビットレート(1秒あたりの情報の表現に費やすデータ量)は32kbps(キロバイト毎秒)から320kbpsまで選択でき、音質を下げればより少ない容量に圧縮できる。
CDに記録されたリニアPCM形式の無圧縮音声データ(サンプリング周波数44.1kHz、量子化16ビット、2chステレオ、ビットレート1411.2kbps)を圧縮する場合、概ね128kbps(約1/11)~192kbps(約1/7)程度までならほとんどの人にとって音質の違いが気にならないと言われる。
MP3は音声データの圧縮符号化方式(コーデック)とファイルへの格納形式(コンテナフォーマット)の両方を規定しているが、コーデックのみを使用してWAV(RIFF)ファイルなど他のコンテナ形式に格納したり、動画ファイルの音声部分に使用することができる。MP3ファイル形式には音声についての情報を記録する「ID3タグ」というデータ形式が規定されており、曲名やアーティスト名などを記録することができる。
歴史
MP3は1993年にドイツの産学連携研究機関、フラウンホーファー研究機構の集積回路研究所(Fraunhofer IIS)が開発したもので、同研究所は圧縮方式に関して特許を取得した。対応ソフトウェアの開発には特許使用料の支払いが必要なため、これを嫌ってMP3に対応しないメーカーなどもあった。2017年に特許権の保護期間が終了したため、現在では誰でも自由に利用することができる。
MPEG-1ではMP3の他に「Audio Layer-1」(MP1)および「Audio Layer-2」(MP2)の音声形式が規定され、それぞれ異なる方式で圧縮を行うため互換性はない。MPEG-2ではこれらに加えて「AAC」(Adavanced Audio Coding)と呼ばれる新しい方式が追加され、いずれかを選択して使用する形になった。MPEG-4では音声形式はAACに一本化されている。
関連用語
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他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 情報処理学会「第78回全国大会」発表論文「Lrcファイルを使った英語ディクテーション自動採点機能の開発」(PDFファイル)にて引用 (2016年3月)