HDTV 【High Definition TeleVision】 高精細テレビ / 高品位テレビ
概要
HDTV(High Definition TeleVision)とは、走査線が概ね1000本以上(縦方向の画素数が1000ピクセル以上)ある、精細な映像を映すことができるテレビ放送方式。2000年代初頭から各国で実用化が進み、従来型のテレビ放送方式(SDTV)やテレビ受像機からの置き換えが進んでいる。テレビ放送開始以来使われてきた標準規格(NTSC、PALなど)の多くは画面の縦横比(アスペクト比)4:3、走査線480本前後(画素数で横720×縦480程度)であるのに対し、HDTVは縦横比が映画などと同じ16:9、走査線1080本以上(画素数で横1920×縦1080以上)となっている。例外的に、順次走査(プログレッシブスキャン)で1280×720の仕様(720p/750p)をHDTVに含めることもある。
日本では「ハイビジョン」の愛称でよく知られ、NHKなどが開発した「アナログハイビジョン」(MUSE方式)による衛星放送が1989年に開始された。その後、映像信号をデジタルデータとして伝送する「デジタルハイビジョン」(ISDB-T/ISDB-S)が開発され、2011年に地上波テレビ放送が全面的にアナログ方式からデジタル方式のHDTVに切り替えられた。
デジタル方式のHDTVには日本のISDB規格の他に、北米などのATSC規格、ヨーロッパなどのDVB規格、中国などのDTMB規格が存在する。世界的にはDVBが主流となっており、ISDBはフィリピンや中南米、アフリカ南部の一部で採用されている。
HDTVが開発されて以降、従来の低解像度のアナログ放送方式は「SDTV」(Standard Definition Television:標準画質テレビ放送)と総称されるようになった。SDTVしか無かった時代にはこのような呼ばれ方はしておらず、HDTVの登場によって従来方式を区別するために後から考案された、いわゆるレトロニムである。
(2022.10.25更新)