ビットレート 【bit rate】 bitrate
概要
ビットレート(bit rate)とは、データを連続的に処理あるいは伝送する際に、単位時間あたりに処理・伝送できるデータ量のこと。単位として、1秒あたりのビット数である「bps」(bit per second:ビット毎秒)を用いる。データを処理するプログラムが1秒あたり何ビットを処理できるか表したり、圧縮された動画や音声などのデータが1秒あたりどのくらいの情報量で表現されているかを表したり、通信回線が1秒間にどのくらいのデータを送受信できるかを表したりするのに使う。
単位にはbps(ビット毎秒)を用いるが、bpsそのものでは数字が大きくなりすぎるため、実用上はSI接頭語を付加した「kbps」(キロbps:1000bps)、「Mbps」(メガbps:100万bps)、「Gbps」(ギガbps:10億bps)などの単位を用いることが多い。
通信回線や通信システムなどについて使う場合には、伝送する総ビットレートから、符号化や誤り訂正、通信制御などのために費やされる分を除いた実質的な伝送量のことを「実効ビットレート」(effective bit rate)ということがある。
固定ビットレートと可変ビットレート
音声や動画などの単位時間あたりのデータを表す場合、全体が常を同じビットレートで表現する方式を「固定ビットレート」(CBR:Constant Bit Rate)、内容の複雑さや変化の激しさなどに応じてビットレートが上下する方式を「可変ビットレート」(VBR:Variable Bit Rate)あるいは「変動ビットレート」という。
固定ビットレートは単位時間あたりのデータ量が同じであるため、全体のデータ量や伝送に必要な通信速度をあらかじめ知ることができるが、複雑で情報の多い箇所は圧縮率が高くなり品質が不安定になる。可変ビットレートは単純な箇所は少ないビット数で、複雑な箇所は多いビット数で表現するため品質は安定するが、データ量や伝送速度は予見できない。
両者の中間的な方式で、可変ビットレートで圧縮するが、全体を平均すると目標のビットレートに近づくようにデータ量の増減を制御する方式を「平均ビットレート」(ABR:Average BIt Rate)という。これらの方式は用途や目的に応じてコンテンツの圧縮(エンコード)時に選択される。
一方、動画や音声を複数の解像度や品質でエンコードしておき、ストリーミング配信による再生時(送信時)に受信側の環境に応じて最適なビットレートのデータへ動的に切り替える方式を「アダプティブビットレート」(ABR:Adaptive Bit Rate)という。これは圧縮時ではなく送信時に行われるビットレート制御である。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 文化庁委託事業 映像データの取り扱いに関する技術セミナーに向けた教材作成並びに講師派遣委託事業 IMAGICA「映画・映像データの取り扱い、仕組みと実際」(PDFファイル)にて参照 (2016年3月)
- 国立映画アーカイブ 委託調査 IMAGICA「デジタル映像の制作・流通に用いられるファイルフォーマットに関する調査 報告書」(PDFファイル)にて参照 (2015年3月)
- 総務省 東北総合通信局「沿岸海域における効率的なワイヤレスブロードバンドシステムの技術的条件に関する調査検討会 報告書」(PDFファイル)にて引用 (2010年3月)