FLAC 【Free Lossless Audio Codec】
概要
FLAC(Free Lossless Audio Codec)とは、音声データの可逆圧縮方式およびファイル形式の一つ。音質をまったく損なわずに保存することができる。標準のファイル拡張子は「.fla」あるいは「.flac」。音声をデータ圧縮する方式はほとんどが不可逆圧縮を採用しており、元のデータの改変や欠損を許容する代わりに劇的に圧縮率を高めているが、FLACは汎用のファイル圧縮のように完全に元のデータを復元できる可逆圧縮を行うため、原理的に音質の劣化が一切発生しない。
圧縮率は音声の内容に大きく影響を受けるため一概には言えないが、一般的な音楽CDなどを音源とする場合、MP3のような不可逆圧縮方式は音質をほとんど維持したまま1/10程度に圧縮できる一方、FLACは他の可逆圧縮方式と同じくおおむね半分から1/3程度のデータ量となる。
対応する音声データのサンプリング周波数は1~655,350Hz(655kHz)、量子化ビット数は4~32ビットで、最大8チャンネルまで重ねて記録することができる。圧縮・展開の方式は公開されているほか、標準の圧縮・展開ソフトウェア(コーデック)はBSDライセンスに基いてオープンソースソフトウェアとして公開されている。
圧縮したデータをファイルに記録するコンテナフォーマット(.flacファイル)も定めている。オプションで無圧縮記録を指定できる「FLAC Uncompressed」形式も定められており、WAV形式の音声を圧縮せずにそのまま記録することができる。
他のコンテナ規格のコーデックとして採用される場合もあり、Ogg形式(.oggファイル/.ogaファイル)やMatroska形式(.mkaファイル/.mkvファイル)では音声形式の一つとしてFLACを選択することができる。
(2021.5.25更新)