インターレース解除 【deinterlacing】 デインターレース
概要
インターレース解除(deinterlacing)とは、インターレース方式の映像を処理して、プログレッシブ方式に変換すること。アナログテレビ放送の録画や、1080iなどのデジタル形式の動画に対して行われる。動画の再生は画像を高速で次々に書き換えることにより行われるが、インターレース方式では一回の描画で画面を半分ずつ書き換える。上から奇数番目のラインと偶数番目のラインを交互に書き換えることで、2回の描画ごとに全体が書き換わる。
動画を構成する個々の画像を「フレーム」(frame)、一度に書き換える画像を「フィールド」(field)という。毎秒30枚の画像で構成される30フレーム毎秒(fps)の動画は、インターレースでは60フィールド毎秒で描画される。一方、プログレッシブ方式は毎回全体を書き換えるため、30fpsなら描画回数も毎秒30回である。
インターレース解除では、インターレース方式の動画をプログレッシブ方式に変換する。基本的な方針として、前後のフィールドを結合して一枚のフレームに合成する手法と、個々のフィールドを拡張して2倍のフレームを得る手法に分かれる。
フィールド結合
フィールド結合の最も簡素な方式は「Weave」(ウィーブ)と呼ばれ、1番目のフィールドと2番目のフィールド、3番目と4番目といったように単純に前後のフィールドを合成してフレームとするものである。フィールドは同じフレームを2つに分割したものではなく、前後のフィールド間には時間的な推移があるため、動く物体の輪郭などにズレ(コーミング)が生じる。
前後のフィールドの連結時に平均化を行う手法は「Blending」(ブレンディング)という。フレーム内のライン間のズレは緩和されるが、動きのある物体の周囲に残像(ゴースト)が生じることがある。また、やはり時間的推移のある2枚を1枚に組み合わせるためフレーム間の動きはオリジナルよりぎこちなくなる。
フィールド拡張
フィールドを拡張する手法は、各フィールドの画像からそのまま1枚のフレームの画像を求める手法で、フィールド数と同じフレーム数となる。各フィールドで描画するラインの内容を、そのまま今回描画しない上または下のラインに複製する「Line-doubling」(ラインダブリング)あるいは「Bob」(ボブ)と呼ばれる手法を指すことが多い。
描画しないラインを抜き取って半分のラインでフレームを構成する「Half-sizing」(ハーフサイジング)という手法もあるが、縦が半分に潰れてしまうため利用者に見せる動画としてそのまま提供することはほとんどない。画質向上のために内部的に生成して利用する場合がある。
偶数フィールドと奇数フィールドの間には時間的な推移があるため、いずれの手法を用いても機械的な単純処理では本来映っていたはずの完全なフレームを再現することはできない。現代ではこれらの手法をベースに、動画圧縮方式などに用いられる画像処理手法などを応用して補間や補正を行っている。