MPEG-2 【Moving Picture Experts Group phase 2】 H.262 / ISO/IEC 13818

概要

MPEG-2(Moving Picture Experts Group phase 2)とは、動画・音声データの圧縮方式の国際的な標準規格の一つ。ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同作業部会であるMPEG委員会がMPEG-1に次いで策定した規格で、1996年にISO/IEC 13818として標準化された。動画圧縮についての規格は同一のものがITU-TによってH.262としても勧告されている。

MPEG-1は主に光学ディスクなどの蓄積型メディアにおける利用を想定していたが、MPEG-2はこれに加えて放送や通信など様々なメディアや用途での利用を想定し、多様なサイズの動画を多様な品質で圧縮・再生することを可能にした。

データの記録形式として蓄積メディア向けの「MPEG-2 PS」(Program Stream)と、配信メディア向けの「MPEG-2 TS」(Transport Stream)が規定されており、DVDなどでは前者が、デジタル放送などでは後者が用いられる。

圧縮方式

MPEG-2における動画圧縮方式「MPEG-2 Video」では、基本原理などはMPEG-1を踏襲しつつ、MPEG-1相当の低解像度からアナログテレビ放送相当、デジタルテレビ放送(HD/フルHD)相当の高解像度まで4種類のサイズに対応する。画質や用途に応じて7種類のプロファイル(機能セット)から一つを選択することができる。

また、MPEG-1はプログレッシブ方式の映像のみ対応していたが、新たにインターレース映像にも対応した。画質はMPEG-1より改善されたが、その分データ量も増えており、MPEG-1相当サイズの動画は最大で4Mbps(毎秒4メガビットMPEG-1では1.5Mbps)、最大サイズのフルHD相当では80Mbps(毎秒80メガビット)に及ぶ。

音声の圧縮方式「MPEG-2 Audio」では、MPEG-1でステレオ(2チャンネル)までの対応だったものが拡張され、多チャンネルのサラウンド音声を収録可能になった。MPEG-1同様に複数の音声仕様が規定されているが、後から追加されたAAC(Advanced Audio Codec)がよく用いられ、単体の音声圧縮形式としても普及している。

主な用途

MPEG-2はDVD-Videoやデジタル放送(地上デジタル放送、衛星デジタル放送)などに採用され、広く普及している。コンピュータ上のファイルとして保存する際の拡張子としては「.mpg」「.mpeg」の他、プログラムストリーム形式では「.m2p」などが、トランスポートストリーム形式では「.ts」「.m2t」なども使われる。「.mpg」「.mpeg」はMPEG-1MPEG-4でも使われることがあり、拡張子だけではMPEG-2形式かどうか分からない。

なお、当初は低解像度向けがMPEG-2で、高解像度向けには「MPEG-3」という別の規格を策定して使い分ける予定だったが、高解像度の動画もMPEG-2のパラメータやプロファイルの変更で対応することになったため、MPEG-3の仕様検討はキャンセルされ欠番となった。MPEG-2の次世代の動画圧縮方式は「MPEG-4」である。

(2023.8.5更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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