CD-ROM 【Compact Disc Read Only Memory】

概要

CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)とは、コンパクトディスク(CD:Compact Disc)の規格の一つで、コンピュータなどが扱うデータを記録した読み取り専用のディスク。サイズと記憶容量は何種類かあるが、通常使われるのは直径12cmで容量700MB(メガバイト)のものである。

CDはプラスチック製の穴の空いた円盤型の記録媒体で、ドライブ装置内で高速回転させながらレーザー光を照射して、表面の微細なパターンとして記録されたデータを読み取る。CD-ROMは初期の規格で策定された読み取り専用ディスクの仕様で、データの記録に用いられる。

データの記録は製造工場の専用の装置で行われ、製造時に記録されたデータを利用者側で消去、追記、上書きすることはできない。同じ内容のディスクを大量に生産する商業的なソフトウェア製品、家庭用ゲーム機向けのビデオゲームソフトなどの販売用によく用いられる。

主な仕様

他のCD規格と同じように直径8cm、12cmのディスクがあり、記録容量は当初185MB(8cm) / 650MB(12cm:音楽74分相当)が主流だったが、後に210MB(8cm) / 700MB(12cm:80分相当)が一般的となった。現在一般的に用いられるのは12cm、700MBの規格のみである。

音楽CDで1トラック目に相当する領域にデータを記録し、後続のトラックに音楽を記録することもでき、ゲームソフトなどに用いられた例がある。ただし、データトラックを音声として再生しようとするとスピーカーが損傷したりソフトウェアが予期しない動作をする危険がある。

コンピュータで扱うデータをファイルとして記録する際にはファイルやディレクトリの情報を記録するためのファイルシステムが必要となるが、CD-ROM規格自体には規定がないため、別に策定されたISO 9660規格やその派生仕様(RomeoJolietなど)を用いる。

読み込み速度

データの読み出し速度はドライブ装置によって異なり、当初は音声の再生に必要な読み出しスピードである150kB/s(キロバイト毎秒)の装置が製品化された。現在ではこの速度を「等速」「1倍速」と呼ぶ。

その後、この速度の整数倍で高速化が進み、「x2ドライブ」「x16ドライブ」といったように倍率によって性能を表記するようになった。現在では最大で52倍速(7.8MB/s)の製品が存在するが、CDの材料や製法の関係で、これ以上高速に回転させるとディスクが物理的に破損するため、この速度が物理的な上限となっている。

歴史

1985年にソニーと蘭フィリップス(Philips)社が通称「Yellow Book」(イエローブック)と呼ばれる規格書を発行した。1989年にはISO/IEC 10149として国際標準となり、日本でも同様の内容がJIS X 6281として国内標準となっている。その後、特定の用途に向けて記録データの形式を規定したCD-IやCD-ROM XAなどの拡張規格も発表されたが、あまり普及しなかった。

(2024.3.29更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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