ノイズリダクション 【noise reduction】 NR

概要

ノイズリダクション(noise reduction)とは、信号に含まれる不要な要素(ノイズ)を検知して除去、軽減すること。また、機器やソフトウェアに備わるそのような技術や機能。

画像や音声、映像などを信号として表すと、目的とする対象物を表す信号以外に、機器の特性や記録時の周辺環境、記憶媒体の劣化、信号伝送路への環境からの電磁的干渉など様々な要因により、雑多な信号成分(ノイズ)が混入してしまう。これを一定の機械的な信号処理により低減することをノイズリダクションという。

例えば、音声に小さな低い雑音が混入している場合に、ある周波数以下で一定のレベル以下の振幅の信号をカットするといった処理をうことでノイズ音を低減することができる。ノイズの種類によってそれぞれ適したノイズ低減の手法が異なるため、対象の特性にあった技術を選択する必要がある。また、複数の要因により異なるノイズが混入していることが多いため、それぞれに応じた複数段階のノイズ低減処理をうことも多い。

実際の音声や映像では(必要な)信号の一部がノイズに一致している場合もあり、ノイズリダクションにより本来の信号の品質が低下してしまう場合もある。ノイズのみを選択的に完全に消し去ることはどのような手法を用いても難しく、品質とノイズレベルのバランスを考慮してどの程度ノイズ除去を実施するか見極める必要がある。

ノイズキャンセリング (ノイズキャンセラー)

音声の再生時などにその妨げとなる周囲からの環境音などを低減・消音する技術をノイズキャンセリング(noise cancelling)という。イヤフォンなどで環境音の混入を抑えるためによく利用される。

代表的な手法はアクティブノイズコントロール(ANC:Active Noise Control)と呼ばれる方式で、信号にちょうど逆位相の信号を重ねると消滅するという原理を利用している。集音マイクで環境音を捉えて内蔵した回路で位相を反転した音声信号を生成し、再生する音声に合成して一緒に流すことで、環境音だけが逆位相の音と打ち消しあってほとんど聞こえなくなる。

デジタルノイズリダクション (DNR:Digital Noise Reduction)

映像信号に混在するノイズを、デジタル処理によって低減する手法をデジタルノイズリダクションという。ハードディスクレコーダDVDプレーヤー、ビデオデッキやテレビなどにおいて映像信号に混在するノイズを低減する処理のことを特に指すことが多い。

代表的な映像信号のDNR手法としては、映像信号から輝度信号(Y)と色信号(C)を分離し(Y/C分離)、それぞれに対してデジタル処理を施すことによって輝度信号中のノイズ(ちらつき・ざらつき)および色信号中のノイズ(余分な色情報)をそれぞれ取り除く方法がある。

他にも、映像の各フレームごとの差分からノイズを検出し除去する3次元デジタルノイズリダクション(3DNR)などの手法がある。Y/C分離をう際にも同じようにフレーム間の差分を利用する手法がある(3次元Y/C分離)。

3次元ノイズリダクション (3DNR/テンポラルノイズリダクション)

デジタルノイズリダクション(DNR)の手法の一つで、映像の中で連続する2つのフレーム画像の内容を比較して平均化をい、抽出された差分信号をノイズとして認識し除去する手法を3次元ノイズリダクション(3-dimensional noise reduction)あるいはテンポラルノイズリダクション(temporal noise reduction)という。

「3次元」とは立体的という意味ではなく、2次元の平面画像を時間軸方向に比較してノイズを検出することを意味しており、1枚のフレーム内でノイズを検出して除去する2次元ノイズリダクションなどに比べて、元の画像への影響が少ないという利点がある。ただし、動きの激しい映像は前後で画像が大きく異なるため、ノイズ成分を正しく抽出するのが困難になる。

このデメリットを補うべく考案されたのが「動き適応3次元ノイズリダクション」で、動きが比較的少ないシーンでは3次元ノイズリダクションを使用し、動きが激しいシーンのときには自動的に2次元ノイズリダクションに切り替えることで効果的にノイズ除去をできるようにしたものである。

(2017.12.22更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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