DPCM 【Differential PCM】 差分PCM / 差分パルス符号変調
概要
DPCM(Differential PCM)とは、音声などのアナログ信号をデジタルデータに変換する方式の一つで、信号を一定周期で標本化したものから直前の標本との差を求めてから量子化するもの。PCM(Pulse-Code Modulation)方式に近い品質を維持しながらデータ量を削減できる。単純なPCM方式(リニアPCM)では、ある周波数で信号を標本化してそれぞれ量子化するが、音声などの自然な信号の多くは連続的に変化する性質があるため、直前の標本との差分は標本そのものに比べ非常に小さいことが多い。
DPCMではこの性質を利用して、直前の標本との差分をその標本を表す値として量子化する。小さな量子化ビット数でも大きなビット数で単純にPCM符号化した場合とほとんど変わらない品質で信号を符号化でき、データ量を圧縮することができる。
ただし、この方式を単純に実装すると以前の標本で生じた量子化誤差が次第に蓄積して時間経過に従って品質が劣化していってしまう。このため、実際には過去の符号化データを一旦デコードし、これと実際の標本値との差を取って量子化を行う。
DPCMでは一定の(小さい)ビット数で標本を表すため、信号が急激に変化する箇所では変化に追随できない場合があり品質劣化の要因となる。この問題点を改良し、手前のいくつかの標本の変化の度合いから次の標本の差分を表現するビット数を動的に変化させる方式を「ADPCM」(Adaptive Differential PCM:適応的差分PCM)という。
(2023.10.29更新)